デートに行こうと名前を誘ったはいいが行き先に散々悩んだ挙句行き着いた答えが遊園地だった、正直に言って遊園地は子供っぽかったかも知れないと後悔したがもう中に入ってしまったから言い訳しか出来ない 遊園地に来るのなんて父さんが持ち前の財力を使ってお日さま園のみんなのために一日貸し切りにしたとき以来だったから新鮮といえば新鮮だったが名前がどう思っているかなんてわからない 名前は今日園を出るときから現在に至るまで終始いつもどおり何考えているか分からないような表情だったから楽しみにしてたのかわからねえ 「どうしたの晴矢、行こうよ」 しかし誘ったのは俺だしもう来てしまったのだから遊ばないと損ということで二人で思い切り遊んだ、そして俺はひたすらに名前を楽しませることに徹した ジェットコースターに乗ったときも手を繋ぎたいと言っていた名前の手を握ってやったが思いのほかスピードが速くて俺のほうが叫んでいた気がする ミラーハウスはもはや迷路、俺は訳がわからなくなっていて名前に引っ張ってもらってやっと出口にたどり着いた その後もゴーカートやコーヒーカップやブランコのやつと色々なアトラクションを楽しんだ ちなみにホラーハウスで俺は虚勢を張っていたがあまりの恐怖に名前の手を離すことが出来なかった、だけど名前もびびっていたらしく強く握り返されたのだけは覚えている そんで最後に観覧車に乗ったのだが主に俺だけが気まずくなっていて隣に座ることが出来ずに居た、徐々に変わっていく景色を見詰めている名前に今日のことを謝罪することにした 「えっと、今日はごめんな」 「何が……? あ、ホラーハウスでビビって瞳子姉さんの名前叫んだ?」 「ちげえよ! 頼むからそのことは誰にも言わず忘れろ!」 デートの場所が遊園地だったことだと素直に言う、本来ならショッピングとか女子なら行きたいであろう場所が色々とあっただろうに 名前の顔を見ていられなくなって思わず俯けばくすくすと笑う声がする、誰がなんて聞かなくてもこの空間には俺と名前しか居ない、つまり笑ったのは名前だ 顔を上げれば名前が笑っていて何かおかしいことがあったのか、俺は訳が分からずにただ首をかしげることしかできなかった 「私は晴矢と一緒ならどこでも楽しいよ」 考えすぎなんだよ、とわた笑われて俺の肩の荷が降りた感じがした、気づけば観覧車はもうすぐ頂上みたいで夕日が沈みかけた水平線がとても綺麗だった 不意に俺たちの乗っているゴンドラが少し揺れて、気づけば隣に名前が座っていた 「晴矢、今日はありがとう」 「俺のほうこそ」 照れくさいが二人で見詰め合って、ちょうど観覧車の頂上に差し掛かったところで名前の唇に俺のを重ねた、なんという結果オーライ 君色観覧車 |