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「この程度かよぉ! 甘っちょろい奴らだ」

 兄貴に代わって俺がフィールドに立つ、ナマエも俺が兄貴から変わったのに気づいたらしく口元に笑みを浮かべてる
 俺が出てきたからには勝った同然だ、ナマエに良いとこ見せねえとな!
 紺子が俺の名前を呼んだので胸を叩いて自信満々に言い放つ

「任せとけ! いつもみたいにバンバン点取ってやっからよ!」

 見てな! 俺はボールを上げていく、途中で一之瀬とか言うやつのショルダーチャージを難なく突破する
 さらにはゴーグルマントと長髪のスライディングタックルも弾き飛ばしてやれば俺のことを賛美する実況が響く、気持ちいいぜ
 そのままの勢いでボールを凍らせエターナルブリザードを打ち込めば円堂のゴッドハンドを打ち破ってゴールが決まった

「いいかよく聞け、俺がエースストライカー、吹雪士郎だ!」

 円堂が俺のシュートをとめてみたいとか言いやがるから、出来るもんならやってみな、そう円堂に言い捨てて白恋サイドに戻る
 ナマエが俺の元に駆け寄ってくる、可愛いじゃねえか、抱きしめてぇ、今は駄目だよアツヤ! ちっ、わぁってるよ兄貴
 何やらナマエが言いそうだったから顔を近づけてやったらいきなり額を小突かれた、あんま痛くはなかった

「アツヤは士郎じゃないでしょ、もう」

 仕方ねぇだろ、あいつらは士郎しか知らねぇんだから、そう返してやればうぐっと言葉に詰まるナマエ
 そっか、と眉を八の字にさせたナマエはすごく可愛い、ほんと兄貴には勿体ねぇ、っていうかまだ兄貴のもんって決まったわけじゃねえよな

「よし、次は私がシュートを打つから上手く繋げてね」
「おっしゃ、任せろ!」
「ナマエちゃん頑張ってね!」

 雷門ボールから再開した試合、僕はナマエのためにボールをカットしていつものようにナマエにパスを繋げる

「ナマエ!」
「おっけー」

 パスを出せばナマエがぱちりとウインクをして受け取りその勢いでゴール前まで行こうとするがあちらもやられているばかりではいられないらしい
 背の高い細い人と女の子が左右からカットに入ろうとしている、ナマエが両手を後ろから前へと優雅に動かせば花びらが舞い二人の視界を奪う

「カモミール」

 相手が視界を奪われている隙にペナルティエリアへと上がって行ったナマエはシュートを打つ態勢に入った
 ボールを高めに蹴り上げ、くるりと一回転すると共に色とりどりの花びらをボールに纏わせる
 そしてそのまま足を上げに回転目でボールを打ち込んだ
 花びらを舞い散らせながらゴールへ向かうボールには威力があるように見えない
 円堂くんもそう思ったのかゴッドハンドで受け止めようとした瞬間、ナマエが口角をあげる

「アカンサス」

 ナマエの言葉に反応したかのように軌道が変わりゴッドハンドを避けるようにゴールに入った、いつ見ても綺麗だ

「ゴール! 基山の打ったボールはキーパーを避けるかのように軌道を変えてゴールに収まったぁー!」
「何だ今のシュート! すげえなナマエ!」

 あ、今円堂くんがナマエのことを呼び捨てにしたナマエも気づいてないみたいだ
 円堂くんには他意はないと思うけどちょっとやきもち


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