携帯片手にその場にへたり込んだナマエにみんなが目を丸くする、当然僕も目を見開いてナマエに駆け寄る 「ナマエ!?」 「士郎、しろぉ……」 声にならない声で僕を呼ぶナマエに応えるようその華奢な体を抱きしめ背中をさする、嗚咽を繰り返しながらナマエは言葉を紡いだ 「士郎、私、一人になっちゃったよぉ……」 「!」 「お義父さんとお義母さん、死んじゃったぁ……」 「っ!」 ナマエの育ての親が死んだ、それは僕にとっても衝撃の事実だった ナマエのおじさんとおばさんはどちらかというとお爺ちゃんとお婆ちゃんなんだけど、ナマエにとっては両親なんだ それに僕だって小さい頃からたくさんお世話になっていたし、もう親しい人を失うのは辛い 僕の腕の中で泣いているナマエはいつもの大人びた姿ではなく年相応の、十五歳のか弱い女の子だった 僕が独りになった時にナマエはずっと側にいてくれた、大丈夫だよ、私がついてるよって、僕が回復するまでずっと だから今度は僕がナマエの側にいてあげる番なんだ 「大丈夫だよナマエ、僕がついてるからね」 みんなには席を外してもらって、キャラバンの中でナマエを抱きしめて落ち着かせることに専念した こうして改めてナマエの体に触れて思ったことがある、白恋にいたときよりも心なしか痩せている気がする もともと食べるほうではない上に特訓や試合で今までより体を動かしていたからだろうか、ちょっと心配だよ それからしばらく泣き続けたナマエはぎこちなく笑ってありがとうと呟いた そして監督に事情を説明して一時的に北海道へ帰ることになった、僕も行こうかと申し出たが今の状態で二人も抜けるのはよくないと言うナマエにしぶしぶ了承した 「お葬式とか家のこととかいろいろあるからちょっと遅くなるかもしれないけどちゃんと士郎の隣に帰ってくるから」 |