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▼浜田と微妙な関係01

「え、留年……?」

 正直唖然とした、浜田の口からとんでもない言葉が飛び出した

 昼休み、浜田に呼ばれて屋上へと行くとその日に限って誰もいなかった
 浜田は浜田で都合がいい、と言っていたので何の話かと思っていれば突然の留年宣言
 私はその場に崩れそうになったが何とか持ちこたえた、私偉い

「そ、出席日数足りなくってさー」

 留年の理由をいつもと同じように笑って話す浜田、なんで笑ってんのよ

 浜田とは高校に入ってから知り合った、たまたま入学式の日に席が隣だったのをきっかけによく話すようになった
 それがなかったら、席がたまたま隣じゃなかったら、ただのクラスメイトだったのかな
 ただのクラスメイトだったら今浜田からこんな話聞かされたりしなかったのだろう
 きっと、噂で誰かが留年したと聞かされてふーんと思う程度だったのだろう

「……は、浜田は馬鹿よねー」

 浜田がいつも通りに笑っていたので私もいつも通りに振る舞って、ケラケラと笑ってやった
 浜田も、馬鹿って言うな、って笑っている、何で笑っていられるのよ
 私が二年生になったら浜田はまた一年生、私は先輩で浜田は後輩になってしまう

「浜田、」
「ん、何だ?」
「私が二年生になっても、」
「うん」
「浜田がまた一年生でも、」
「……うん」
「私たち、友達、だよね?」
「名字……」

 私の言葉に浜田は目を見開いていた、そんなに驚かすこと言ったかな
 それからすぐに浜田は複雑そうな顔をしてまたいつもの笑顔にもどった

「あったりめぇじゃん!」
「だよね……!」
「俺と名字はずっと親友だかんな!」

 親友、その言葉に私はひどく安心した、私は浜田を親友だと思ってくれていて、浜田も同じだった

 私が二年生で浜田はまた一年生になっても、私は私で浜田は浜田なんだ
 不安なんてもの、ほとんど消えてなくなっていた


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