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▼第99回無責任ラジオ

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「この番組は毎回録音でお送りしているので、この第99回目がみなさんの耳に届いている現在、私はこの世にいないでしょう」

「……嘘ですよ。そんな遺書みたいなラジオ、流石に後味が悪すぎますし。私はちゃんと生きてます」

「なぜそのような事を言うのかと言いますと、私、ナマエは諸事情があってこの番組のパーソナリティを降りることになりました。みなさんのお陰で99回目まで続けられることが出来ました。ありがとうございます。私は辞めますが番組自体は継続となります」

「現在は引き継ぎも済ませております。記念すべき、と言うのでしょうか、100回目を迎えることなく私は番組を降ります。今までありがとうございました」

「本来ならばここでみなさまからのお別れメッセージを読むのでしょうが生憎録音番組なのでそれは叶いません。後日プロデューサーさんに私の下に送って頂きますので私宛のお便りや送りたい方は安心して送って下さい。……別に無理強いしてるわけではないですからね」

「最初はただ割の良いアルバイトとして始めたラジオパーソナリティのお仕事でしたがみなさまのお便りのお陰で結構稼ぐことが……いえ、二年も続けられることが出来ました。本当にありがとうございました」

「では気を取り直してお便りを読んでいきましょうか。と、その前に一曲行きましょう。如月千早で『思い出をありがとう』」




「あざとく曲で泣かせにいってみましたがどうでしたか。泣いてもいいんですよ? ほらほら」

「なんて、こんなことを言っていたら怒られそうなのでお便りを読みます。ラジオネーム『匿名希望』改め『二重生活』さんからのお便り……『いつも楽しく拝聴しています』ありがとうございます」

「『以前職場でのキャラと本来の自分の性格の違いに悩んでいた者です。あの時のナマエさんの言葉に感銘を受け、現在は本来の自分でしか出来ない仕事を模索している最中です。大変ですが自分で決めた道なので貫き通すつもりです。貴女の言葉がなければ今の私はありません。本当にありがとうございました』いえいえ、私の影響力なんてあって無いようなものですよ。それでも役に立てたのならば幸いです。二重生活さん、お体を壊さぬよう気をつけて下さいね」

「ここで一曲、中島みゆきで『ファイト!』」




「続いてのお便りはラジオネーム『大熊猫大好き』さん。『漫画やアニメなんかでは気楽そうにもてはやされていますけれど、メイドっていうのは、意外と大変な仕事なんですよ。萌え萌え言っていればいいってものじゃないんです。本当、休む暇なんて全然ないらしいですから。この間、合コンであった時に聞いたから間違いありません』そうです、メイドって大変なんですよ」

「私も給料が良いという理由でメイド喫茶のアルバイトをしたことがあるのですが、給仕に加えて客の相手もしなくてはいけないので本当、大変でした。客なんて萌え萌え目当てのオタクばかりで、これならファミレスのウエイトレスをしていた方がマシだと思えましたよ。まぁ、その分給料は良かったんですけどね……」


「といったところで本日の無責任ラジオはこれでおしまい。私がパーソナリティを務めるのも今日でおしまい。今までありがとうございました。みなさん、良い明日を」


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