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▼プロローグ

 オズワールドサッカースタジアム、通称OCS。その名の通りネット上でサッカーを楽しむことができるコンテンツだ。
 国内外の様々な人たちとその場限りのチームを組むも良し仲の良い者同士でチームを組むも良しチームで練習するも良しという三拍子がそろっている。もちろん観戦も自由にできる。
 イナズマジャパンがおこしたサッカーブーム真っ只中の現在では利用者数はOZ人口の半分以上と言っても過言ではないと思う。もちろん僕もその一人で遠く離れたイナズマジャパンのメンバーなどともチームを組んで試合をしたりしている。
 このゲームは入るとまずプレイか観戦かを選んで観戦の場合はそのままスタジアム選択、僕はプレイを選んでチーム選択画面へ行く。沢山のチーム募集の中から目的のチーム名を見付けてあらかじめ教えてもらった合い言葉を入れる。

「サッカーやろうぜ、と」

 なんとも円堂くんらしいパスワードに笑みをこぼしているとぴろりんと軽快な音と共に認証が完了しチームに入ることが出来た。
 中には見知った顔しかいないので久しぶりだねとボイスチャットを飛ばす。

『吹雪久しぶりだな!』
『円堂、つい三日前にもやったばかりだろ』
『そうだったっけ? とにかく楽しみだよ!』
『あれそう言えば名前はいないのか?』

 名前というのは僕の恋人で、イナズマキャラバンでは選手としてイナズマジャパンではマネージャーとして僕たちを支えてくれた女の子。
 今日の試合に名前を誘ったのだがOMCのメンテナンスをしなくてはいけないらしくキャンセルされてしまった。用事があるのだと伝えると残念だけど名前の分まで楽しもうとみんなで腕を上げる。
 今日対戦するのは鬼道くんたちのチームだ。イナズマジャパンやキャラバンのメンバーがみんな集まったら余裕で試合が出来た。
 このゲームの凄いところは現実での必殺技を使うことができるという、僕たちにとっては本物の試合のように楽しむことができる。

 試合は白熱しており最初は少なかった観客も試合が終わる頃には客席が殆ど埋まっていた。どうやら必殺技や戦術で僕らが元日本代表だとばれてしまっているようだ。
 試合は僕たちのチームの勝利だった。これで名前がいたらもっと満たされたんだろうなと考えたが僕の考えを遮るように試合の申し込みがきた。

『チームライモン、試合をしましょ!』

 サッカーのユニフォームにギンガムチェックのスカート。そして猫耳の付いた愛しいアバターが他のアバターを率いてピッチに現れた。

『ナマエ! 用事はもういいの?』
『あー、うん。たぶん』

 さすがに公の場で本名は叫べない。先ほどのようなチームロッカールーム内ではないのでハンドルネームで名前を呼ぶ。
 この反応からしてメンテナンスは途中で放り投げて他の人に任せてきたって感じだ。

 ナマエの後ろにいたのは僕たちが世界大会で戦った選手たちだった。一之瀬くんや土門くん、それに韓国代表だったアフロディくんもいる。
 円堂くんはイタリア代表だった人たちと少しチャットをしてから試合をしようと張り切っている。その様子を見ていた観客たちが湧き上がり、審判のホイッスルが高らかに響いた。


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