▼Trump card is put to the last. ・体育祭 「名前、俺から離れんなよ」 「……うん」 焦凍に言われるがまま彼の横についたままスタートラインの前の方へ移動する。 無数に聳え立つ断崖絶壁の柱。それらを繋ぐのは一本の綱のみ。無数にあるルートから最短を選ぶのがここを早く切り抜けるコツだ。 またもや焦凍の後ろを付いていくのかと思われたが名前はもっと大胆かつ単略的な行動に出た。 『轟名前! なんと綱を使わず跳んでいったー! こいつぁシヴィぜー!!』 「マジかよ!!」 持ち前の跳躍力を活かし柱から柱へと飛び移って行くではないか。 ・騎馬戦 「名前、組むぞ」 「おっけー」 従姉弟だからという贔屓を含めて、お互いの個性を把握した上での選択。 焦凍にとって私は阿吽の呼吸が連携が取れる唯一の存在であると自負しているし、かつ敵に回すと厄介な相手だろう。 「……焦凍、本気出すから絶対取ってよね」 「! ああ、任せろ」 ぐぐっと屈んで脚に力を溜める。私が持ち得る最大の瞬発力で。 とある漫画に肖って“瞬歩”とでも名付けようか。いや、オサレすぎるから止めよう。 「反動ですっごい疲れて眠くなるんだけどね」 そう言って大きな欠伸を一つ。トーナメントまで時間があるし日向で寝てたい。 |