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▼ジャパニーズヒーローガール08

・引っ越し祝い


「引っ越し祝いっつーことで、今日は名前の家で晩飯を食べよう!」


 むしろ晩御飯は日本酒とつまみがあれば事足りる、そんなおっさんみたいな食生活。弁明すると、朝と昼はちゃんと栄養のバランスを考えた食事をとってます。


 海鮮系はマグロにサーモン、イクラもあった方がいいかな。後は卵焼きとシーチキン、カニカマとレタスは冷蔵庫にあったはず。
 海鮮コーナーを歩きながら海老がパック売りされているのを見て躊躇なく買い物かごへと入れる。
 後は海苔とお酢を買えば手巻き寿司の材料は揃う。折角だから寿司桶も買って本格的に作ろうなんて考えたが流石に売っていなかった。
 イワン君は私がかごに入れていく品をきらきらした目で見ている。それが何だか子供みたいで可愛くてつい笑ってしまった。

「ふふ、イワン君なんだか子供みたいね、可愛い」
「! か、可愛いなんて言われても嬉しくないよ!」

 なんて否定する割には照れてますけど、とは口に出さず、そっぽを向くイワン君にまた笑みがこぼれる。



「何もない家ですが」
「本当に何にも無いわね」
「あっ、でもこの間みんなに貰ったフィギュアとか飾ってあるから賑やかになった方なの!」
「じゃあもっともっとこの家を賑やかにしなくちゃね!」


「手巻き寿司かぁ! 食うのは久しぶりだなぁ」
「スシ!」
「飲み物も色々と買ってきたから好きなのどうぞ」

「お酒も、ワインと日本酒と、チューハイもあるよ」





「虎徹さん、私がやります」
「名前頼んだ!」

 泣き喚くサムを受け取り、日本に昔からある子守歌を歌う。曲に合わせてゆっくり、リズミカルにサムの体を優しく叩く。

「ねんねんころりよ、おころりよ、坊やはよい子だ、ねんねしな」

 日本語であるその歌は虎徹さん以外には伝わってはいない。





「私はパートナーが貴方だからナマエミスティカルに成ったの。」

 イワンを見詰めるその瞳はナマエミスティカルのものではなく、名字名前としてのものだった。





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