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▼ジャパニーズヒーローガール06

・雑誌のグラビア撮影、取材、に引っ張りだこ

 今日は折紙サイクロンと名字ミスティカルの自社CMの撮影日。ヘリペリデスファイナンスの
 暇も潰せるし、何よりボランティアなどで施設に訪問した際プレゼントすると喜ばれるので、私はこうした空き時間には常に折り紙を折っている。

「スポンサーから荷物が届いてるよ! あんなでかい荷物は初めてだ!」

 玄関に行くとCM撮影で乗った軽自動車が置いてあった。
 バラエティ番組にとかでよく見るリボンのついた大きな鍵を渡される。



・グッズの話

「そう言えばナマエのヒーローカードも近々発売されるんだっけか?」
「はい! あとナマエミスティカルの御守りが発売されるんです!」



「HERO関係のグッズで持ってるのといったらこれだけだよ」

 そう言って見せたのは四年程前に流行ったヒーローカードのうちの一枚。私の命の恩人であるワイルドタイガーのものだ。
 青色の古臭いヒーロースーツを身に着けたオールドヒーローは、私のあこがれだ。あの事件の後、売店で山積みになっているのを見つけてすぐに購入したのを今でも覚えている。
 今のメカニカルなヒーロースーツも格好良いけれど、ワイルドタイガーらしさが出ているこっちの方が私は好きだ。

「おー、懐かしいなそのカード! そうかそうか!」

 それを見た虎徹さんは当時を懐かしむように微笑んで私の頭を撫でる。少し照れくさい。

「そうだサインしてやろうか?」
「結構です!」
「えっ……」

 私の全力拒否に虎徹さんは見るからに落ち込んでしまって、これは不味いと、必死にフォローする。

「いや、あの……このカードは、あの日、助けても貰った後に買ったもので、その日から今まで勇気とか元気をもらっていたんです。だから!……だから、このままの状態で持っておきたいなって思って。気を悪くさせてしまったなら、ごめんなさい」
「そういうことだったのか」


「あんた、これしか持ってないの?」
「うん」

 ネイサンの言葉に素直に頷く。

「そういえば名前さんの部屋物が極端に少なかったです」
「ミニマリスト?」
「かも」

「親に買ってもらったりしなかったの?」
「うん、誕生日プレゼントくらいしか買ってもらったことないよ」

 ハッ、言ってから後悔、みんなの目が温かい。
 あんまり物に執着しないだけであって、決して買うお金がないとか、物を買い与えてもらえない可哀想な子じゃない。

「あの、別に私……」
「名前君!!」
「のわっ!?」
「会社の人に言ってスカイハイのフィギュアを貰ってくるからぜひ貰ってくれ!!」

 唐突に私の肩を掴んだキースさんが泣きそうになりながら捲し立てる。私は呆気にとられて弁明の機会を逃してしまった。



「ほい、俺からのプレゼント!」

 それは青色のヒーロースーツを着ているワイルドタイガーのヒーローカードで、私の持っている物と同じカード。丁度私が彼に助けてもらった時に発売されていたやつだ。

「家ん中整理してたら出てきたからやるよ。サイン付きだ、しかも本名バージョン! レアだぞー」
「わぁ、嬉しい!」

 本名バージョンとか一般人では手に入らない物じゃないかと、私の僅かしかないミーハーな部分がつい出てしまう。
 お守りが二つに増えた。この時ばかりはヒーローに成れたことに感謝した。



・引っ越しするよ

「シルバーステージ、ですか……」

「君はHEROだし顔も知られてるからね。いつまでもブロンズにいたら我々が給料を払ってないみたいじゃないか」

 仮にも金融業を営んでいるんだから金払いは良いと思わせたいらしい。

「それに女の子なんだからもっと治安の良いところに住んだ方がいいよ! というわけで新しい住まいは会社に近い所を用意したよ」
「事後報告!?」

 やはり今回も私に拒否権はないらしい。まあ社宅だと思えば大丈夫だろう。
 プリントアウトされた地図を渡されたので見てみてびっくり、シルバーステージの結構いいマンションだった。しかも会社まで電車で一本。


「……イワンくん」
「名前さんどうし……」
「私の昔話、聞いてくれる?」


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