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いつも嫌だった。
誰かを素直に愛せない自分も、私をよく見ない周りも。私をよく見てほしい、わかってほしいというのは傲慢なことなのだろう。しかし、人には人としての感情があり個性がある。
どうして神様は感情なんか与えたんだろう。
生と死なんか作ったんだろう。
終わりを用意したんだろう。

私にはわからない。
わかるわけがない。
こんなことを言い出しだらどうして地球ができたとか生物が生まれたとか、どうして人間が支配した気になって生き物を管理して過ごしているのかとか。そんなところから始めなきゃいけなくなる。でも私はその答えを用意できないからどうしようもない。

ただ、私は聖杯をこの手に掴むことによって自分を得たいのだ。
周りのマスターたちに比べ、きっと野望もへったくれもない小さな願いだろう。
でも、私という個人を証明し、確立することで私は漸く私を愛せる気がする。
私は欠点ばかりだからランサーには迷惑ばかりかけることになってしまうんだと思う。

「ランサー、」

「はい。」

彼は少し微笑みながら私を見た。
彼の呪いは私には効かない。それはとても嬉しいことで、私は彼を彼として見ることができる。

「…眠れない。眠るまで、手を握って…。」

「貴方がそれを望むのであれば。我が主。」

聖杯戦争に関わってから震えが止まらない。
怖いのだ。
夜すらゆっくり休めない。

彼の手が私の小さな手を包む。彼の手は驚くほどに冷たかった。
夢で見た彼の記憶。

私は寂しいのだ。

でも、それ以上に騎士であろうとする、そうでしかあれない彼もまた、寂しい人なのだ。


「私が傍にいてあげるね。」



別に掴めなくたって、私はそれで良いんだ。彼と過ごすこの日々だけでも私は私を認めていけるのだから。私を真っ直ぐなまでに必要とする彼を私はどうしようもなく愛したくなる。先の未来にどんな結末があろうと彼に伝えることはないけど、せめて聖杯には彼の幸せを願いたい。


0328
神様聞こえる?
命の終わりの叫びが


まじ最近自分雑食。
マスター設定ヒロイン


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