※設定?なにそれ美味しいの?でご覧ください。因みに死ねた。 風が耳元で鳴っている。念を使用した全速力のキルアに抱えられ、走る。 私たちは走っていた。 自由が欲しいと言った少年は、いつしか自らそれを掴もうと手を伸ばした。 でも、彼が今まで培ってきた全ては彼を許さないし彼を逃がしはしない。 知っていた。私もキルアもわかっていたけど、諦められなくて、どうしても二人でいたくて…。 はっ、と息をつめる音が聞こえる。彼の額に汗が滲んでいる。珍しいことだ。 「キルア、もういいよ。」 「だめだ。」 「キルア。」 「だめに決まってんだろ!」 私が宥めるように名前を呼ぶと彼は走りを止め私に怒鳴った。 「俺がなんのためにこんなことしてると思ってんだよ…。お前と生きたいからだろ!」 「……でも、追ってはゾルディック。捕まれば私は殺されて貴方に自由はなくなってしまう。」 彼はまた走り出す。 「どうせ一緒に生きられないんだもの。逃げたって……。」 「一緒に生きられなくていい。」 「え?」 キルアが私を見た。 「でも絶対、俺が幸せにする。」 思わず涙が出た。 「もう、幸せにしてもらってるよ…。」 森を走っていた視界が開ける。そこは絶壁が立ち並ぶ場所だった。絶壁、と言ってもあるのは下なんて見えない谷底。 彼はそこに向かって迷いなく進んでいく。 「キルア……、」 私はようやく、私たちがどうなるかわかったのだ。 「ごめん。……ごめん。でも俺、名前が好きだから、名前がいない世界はいやなんだよ…。」 閉じていく夢を見た。まるで指先から風化するかのように私の体から力が抜ける。私を抱きしめ、隣を落ちる彼は私を見つめ好きだと言った。 世界は を愛さない。 (彼の涙を見た) 0229 偽物みたいなキルアさん。仕方ない。初めて書くんだ。仕方ない。 戻る |