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※SSL


どうやら人は二番目に好きな人と結婚するらしい。

「ばっかみたい。」

ばりん、と固い煎餅を噛み砕くと少しだけ歯が痛んだ。
二番目に好きとか。ぶっちゃけ人間は一番好きとか二番目に好きとかそういう区別をつけられるほど万能でなければ優秀でもない。

「ねー、千鶴ちゃーん。」

「んー?」

千鶴ちゃんはこたつに温まりながら宿題をしている。冷え症なのか時々彼女のひやりとした足が私に触れる感触が気持ちいい。

「千鶴ちゃん、一番好きな人とは結ばれないんだってさー。」

「え!?そ、それはなんだか困るね。」

「んー。」

私はまた煎餅をかじる。なんだか眠い。

「でも、当たりかもしれないなぁ。」


ぽつりとした呟きに耳が向いたがなんだか聞き返す気はしなかった。どうせ親戚の経験談とかそういうものに基づいたものに決まっている。

「ねぇ、」

「ん?」

「恋しないの?」

「しないよ。」

「どうして?」

「結婚したくないから。」

「私たちまだ高校生だよ?」

「うん。でもさ、結婚したくないから男はいらない。いや、女もいらないけど……。」

千鶴ちゃんはわかってるよ、と笑った。

「…好きな人とは結婚できないんだし、したって仕方ないよ。」


そのとき、ふと私が誰かと手を繋ぐ映像が脳裏を駆け巡った。


「あのね、私結婚が決まってしまったの。」「でもね、苦痛じゃないよ。」「…うん、苦痛じゃない。でも、寂しいよ。」「ねぇ…このまま私を浚って…。誰も来られない場所に私を連れて行って…。」「嘘。嘘だからそんな顔しないでよ。」「………え?…私、この結婚は納得してるわ。だって家のためになるんだもの。」「……本当に、苦痛じゃない。私、幸せになるのよ?」





「…やっぱり、寂しいよ。平助。私、あなたと幸せになりたいの。なのに…なんで…なんで、なんで、こんなことになったんだろ。」




「…どうかした?」

「え?」

え?ってなに、と千鶴ちゃんは笑う。
私は渇いた笑い声を出した。


「……なんか、うん。…なんだろ。」

「……なんだか今日おかしいよ、大丈夫?」

「……っ、」

ぐす、と鼻をすすり泣き出した私に彼女は焦って駆け寄る。大丈夫?と差し出されたハンカチは綺麗は桃色。あの日の満開な桜を思い出す。

「…あぁ…、」



あのときの手の感触を思い出して、涙が止まない。



0214
一応平助



どうして忘れてたんだろ


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