1 突
「神田くん押されてるんじゃないのー?」
「はっ、んなわけねぇだろ。お前こそ手貸してやろうか?」
そう言ってAKUMAの攻撃を避けながらもこちらを向き余裕の笑みを浮かべる神田。
「っ、冗談…!!」
本当に憎たらしいったらありゃしない。神田に対しての苛立ちを対峙しているAKUMAにぶつけて破壊する。
「…ふぅ。そいつで最後なんだから早くしてねー」
自分が破壊したAKUMAの残骸に座り足を組みながら神田を見下ろす。
「……」
「足引っ張んないでよねー」
「うるせぇ、馬鹿女!」
「なっ!馬鹿ってな、っ!?」
「おいっ!」
悪態を付き合っていると破壊しきれていなかったのかAKUMAが急に動き出した。
「やばっ…」
空中に投げ出されバランスを失っていると目の前には動き出したAKUMA。
「い゙っ…た、」
正面からくるはずの攻撃は来ず、力一杯体を押されそのまま地面に叩き付けられた。
その時、一瞬視界に映った神田を思い出し姿を探す。
「神田…!!」
「るせぇ…」
「ごめんっ!手当てしなきゃ…!」
「いらねぇ」
そう言って六幻で体を支え立ち上がろうとするが体勢を保てず前に倒れてしまいそうなとこを支える。
「何がいらないよ!自分の体も支えれてないじゃない!」
「うるせぇ…耳元で騒ぐな」
「あんたが倒れてきたんでしょ!」
「お前だってその肩外れてんだろ?支えるのもやっとみてぇじゃねぇか」
お互いに言い合いながらも近くの壁に凭れさせれば長く息を吐く神田の姿。
「……っ!!!」
「なっ、おまっ…!!」
息を吐いて外れた肩を力一杯壁に打ち付ける。その一連を見てた神田の顔がより一層険しくなった。
「何してんだよ…」
「…片手じゃ神田のこと手当て出来ないでしょ」
「だからいらねぇって」
神田の前にしゃがみ医療具を出していると神田は何事もなかったかのように体を起こした。
「…え……?」
「俺はそんな簡単に死なねぇ」
「だって……血も沢山…」
そう言って確めるように身体に触れるが傷口は綺麗に塞がっていた。
「う、そ…」
「俺とお前じゃ作りがちげぇんだ、よ…」
神田の声が段々と小さくなり語尾が消えていく。
「…何泣いてんだよ」
「泣いてなんかないっ、バカっ…!」
「はっ、可愛くねぇ奴」
「そんなの知ってるっ」
神田に見られまいと俯き顔を反らすが中々止まってくれない涙に動けない。
少しして舌打ちが聞こえたかと思うと胸元に近付いてきた手。
「え……ぇええっ!?」
「うるせぇ、ギャーギャー喚くな」
「ちょっ、何こんな所で発情してんのよ!!」
「お前みたいな奴に発情なんかしねぇよ!!」
驚きの余り後ろに倒れかけたが神田は呆れてこちらを見ていた。
「固定してやるからコート脱げ」
「…もうはまってるもん」
「あんな荒療治でいいわけねぇだろ」
渋々脱げば器用にコートで固定してくれた。
「…先にそう言えばいいのに」
「うるせぇ」
驚き半分、不謹慎だがドキドキしてしまったのも事実で悔しくてたまらない。
「ほら、帰るぞ」
先に立ち上がり手を差し出してくれる神田にまた少し胸が反応してしまった。
衝突事故(いつもみたいにバカにしてよ)next..
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