診断お題→
あなたは20分以内に3RTされたら、それぞれが悪魔と天使の設定でプレゼントを送りあう風不の、漫画または小説を書きます。

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「悪魔さん こんにちは」
「寄るな天使が」
「なにそれ悪口になってないぞ」
「俺ん中では悪口なんだよ」

俺は不動明王。悪魔。
こっちは風丸一郎太。天使だ。
人間達の中には一般的な天使と悪魔という概念があると思うが、まぁ俺達の外見に関してはそれで間違ってない。例えば悪魔の俺は耳とか歯がとがってるし、頭には角が生えてるし、翼と尻尾もある。天使の風丸にはなんかフワッフワした白い羽根が生えてるし。
でもやってることは違うかな。まぁ大昔にはちゃんと、現代にも伝わってるような悪さとかもしてたみたいだけど。今は基本的には何もしてない。こうしてゴロゴロして、気が向いたら人間を観察して、そいつが気に入らなかったら嫌がらせするくらい。ちゃんと働けよって思うと思うが、言い訳すると俺は大した能力なんて持ってないからしょうがない。できることと言えばこうして羽で空を飛ぶことと、人間の頭の中を覗いたり、その頭の中に呼び掛けて考えを変えさせたりすることくらい(めちゃくちゃ疲れるからやらねぇけど)。風丸はそれ以外にも透視とか、念力でものを動かしたりとか、人間の傷とか病気を治す治癒能力なんかも少〜しだけあるらしい。修行を積めば出来るようになるんだと。エライエライ。
そんな風丸が最近は俺にこうして付きまとってる。何故かって言うと、俺達天使や悪魔ってのは絶滅危惧種並みに数が少ないのだ。俺も家族以外の、こういう存在を見たのは風丸が初めてだった。風丸もそうだと言っていた。
俺達は、当たり前だが人間からは全く見えないし、声も聞くことができない。つまりお互いを認識して、話せる相手というものと家族以外で初めて出会ったのだ。風丸は俺と初めて会った時、本当に喜んでいた。俺は別にそうでもなかったけど。本来相まってはならない種族同士なのだが、それから俺達はほぼ毎日2人で過ごすようになった。

「なぁ、今日は何する?」
「うるせぇな…天使は人助けでもしてろよ」
「もう100人助けて、今日の分は終わったんだ」
「…ノルマが少ねぇよ、1000人くらい」
「悪魔としてなんにもやってないお前に言われたくないな。それより、またあれやらないか?サッカー!」

風丸はキョロキョロと辺りを見回すと、綺麗な白い羽を広げて下へ降りて行った。おそらくボールを捜しに行ったのだろう。俺の昼寝場所のここは中学校の体育館の屋根の上。ボールの一つくらいならすぐ見つかるだろう。
ボムボムボム…
下からゴムボールが打ち上げられてきた。下を見ると風丸が手を振っている。
「なー!少しでいいからやろうぜー!」
俺はしぶしぶ風丸のいる方向へボールを蹴り返し、数時間ぶりに羽を広げて地面に降りた。ぐーっと伸びをする。
俺達がサッカーをやり始めたのはつい最近だ。風丸が気にかけている人間がサッカーをやっていて、つられて俺達も始めたのだ。普段背中の羽で移動をする俺達にとって、足でボールを蹴り返すこのスポーツはなかなか難しく、新鮮だった。パスをしたりドリブルでボールを奪い合ったり。人間達からはボールしか見えないので不自然かもしれないが、今は授業中だから見ている人間などいないだろう。

「今日の試合、見に行くだろ?」
「あぁ、すげー強いチームが来るんだろ?」
「いいよなー試合。俺も出たい」
「はいはい。無理無理」

学校や部活などの人間の生活に風丸はずいぶん憧れを抱いている。学校に居座り、人間と一緒に授業を聞いたり、ここのサッカー部に付きまとって勝手に部員面しているのにはさすがに呆れてしまう。

キーンコーンカーンコーン…
学校のチャイムが鳴る。授業を終えた生徒たちが校舎から出てきて移動を始める。
俺達は行き交う生徒たちを避けて木陰に腰掛けた。今までは何とも思っていなかった風景だが、風丸と話しているとなんだか俺も人間の中学生になった気分になる。友達と話しながら歩く男子生徒が目に入る。俺達も人間だったなら、周りからあんな感じに見えるのだろうか。

「なぁ、不動と俺でサッカー部作らないか?」
「やだよ」
「じゃあ、お前にあれ教えてやるよ!数学!」
「いらねぇって…つか、もう人間の真似ごとなんてやめろよ。俺たちじゃあマネすらもできねぇんだから」
「そんなことないさ」
「サッカーだって11人いないとできねぇし、ましてや試合するには最低でも22人必要なんだぜ?」
「…わかってるよ」
「人間の真似なんて虚しいだけだからやめろ」
「……そんなこと…」

あれ、ちょっと言い過ぎたか。
でも本当のことだ。例えばこれから世界中周ったとしてはたして11人見つかるかどうか。俺の両親も生きてるかどうかすらわからない。もしかしたら天使や悪魔なんて存在、もう世界中で俺達2人だけかもしれないのに。

「でも、実はな、俺達でも出来ること見つけたんだ」
「おー、何?勉強なんてふざけたこと言うなよ」
「恋愛」
「あー……って、は?」

一瞬同意したが、おかしい。何言ってんだこの天使。

「いや、あ、そうか、まぁ勝手に人間の雌にでも片想いすれば」
「そうじゃなくて…お前と」
「は、はぁああ!?」
「俺、何度考えてもお前のこと」
「バカ!何言ってんだよ!俺、男だぜ!雄!というかその前にだな、悪魔と天使ってこと」
「わかってる!」
「…っ」
「好き…なんだ。不動のこと」

あぁ!自分でも顔が赤くなるのがわかる。生まれて初めての感覚だ。

「はぁ…言えた…っ!」
「お、お前は勘違いしてんだよ!俺しか話し相手がいないからってそれを恋愛とかって錯覚して」
「違う!そんなんじゃない!ちゃんとお前のこと愛して」
「バカ!やめろ!言うなっ!」

俺は思わず走り出した。後ろから俺の名前を呼ぶ風丸の声と足音がしたので慌てて羽を広げて飛んだ。足で走ったら風丸の方が速いが、羽で飛ぶのは俺の方が速い。


「ハァ…ハァ…」

必死に逃げて気づけばこの街のシンボルと言われる鉄塔広場にいた。振り向いても風丸はいない。鉄塔のイナズママークの上に腰掛ける。

「何言ってんだよ…あいつ…」

どうしていいか自分でもわからなかった。でも、あいつが本気で俺のこと好きだったなら、逃げてしまったことで風丸を傷つけたかもしれない。って、悪魔が何考えてんだか。



日が暮れていく。あぁ、そういえば例のサッカーの試合はどうなったかな。
遠くから白い羽根の天使が飛んでくるのが見えた。軽く深呼吸して鼓動を落ち着かせる。

「と、隣いいか?」
「おう」

俺は大きく広げていた羽を畳んだ。風丸が隣に座る。
なんだ風丸も緊張してんじゃん。そう思うと自分の肩の力が抜けるのがわかった。

「不動、ごめんっ!」

そう叫んで風丸は俺の前に花束を差し出した。花束と言っても花屋とかで人間が売っているようなものではなく、明らかにその辺で摘んできただろっていうような感じの、酷く言えば雑草の寄せ集めだ。

「…なにこれ」
「お、お詫びの…プレゼント」
「悪魔に花かよ」
「う…いや、他に思いつかなくて…」

真っ赤になっている風丸を見て思わず頬が緩んでしまう。

「ま、しょうがねぇからもらってやるよ」

風丸から野花の束を受け取る。何かで束ねているわけでもないので1、2本落してしまった。
そうそう、プレゼント。人間は誰かとの距離を縮めたいときにプレゼントを贈るのだ。

「…人間っぽいな」
「え?」
「プレゼントとか、いかにも人間らしい」

俺も何か用意したいと思っていたのだ。でも何かを買うことも出来ないし、盗んだものは風丸が嫌がるだろうと思って。

「俺も…何かやろうか」
「えっ」
「お前があまりにも可哀想だからな。ちょっとは人間ごっこに付き合ってやるよ」
「じゃあ不動と一日デートできる券が欲しいっ!」
「!…まぁ、いいぜ1日くらいなら」
「俺、少しずつお前に好きになってもらうよう努力する。人間達も、そうしてるだろ?」
「ん…そだな、がんばれよ」
「他人事みたいに言うなよ」

日が沈んで、腰掛けていたイナズママークのシンボルに灯りがともる。
風丸、是非俺を好きにさせてくれよ。好きでもない奴と一生2人きりかもしれないなんて、冗談じゃねぇからな。



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書きながら『このお題なんなんだよ!?』って100回くらい叫びました。
天使と悪魔とか見たことなかったんですけど逆にスラスラ書けました。やってみるものですね!
2013/02/8


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