【キリ番リクエスト】
リクエスト内容!→
風邪を引いていつもより甘えたな不動さんと優しい風丸さん
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俺の恋人ならわかんだろ?
「大丈夫か?」
しゃべる元気もないわけよ。
「まるごとバナナとか買ってきたけど…」
食欲なんてないし
「あー、無理だよな」
何より頭が痛い
「…しゃべれないのか?」
鼻声で、自分でもかっこわりい声だと思う。だからこんな声聞かれたくねぇ。
小さく頷く。さっきからこれと、首を横に振る動作だけ。
「…俺、邪魔?」
慌てて首を横に振ろうとするが思いとどまってただ風丸の目を見る。
(帰れなんて一言も言ってないだろ。)
と、目で訴えてみる。…なんだかガキみたいでダセェ。
「話せないほど辛いのか!?」
あ、なんだかめんどくさそうな展開。
「今日練習は?」
何時間かぶりに声を出したが上手くいかなかった。ボリュームはやけに小さいし全部に濁点が付いてるかのような声。
「え?すまん、聞こえなかった」
「レ ン シュ ウ」
「あぁ、今日は休み」
「本当か?」
「…ごめん、休んじゃった」
少し嬉しくて頬が緩むのを我慢して風丸を睨みつけた。サッカーより俺を優先なんてしていいはずがない。
「でも、俺やっぱり邪魔かな?眠るのが一番いいもんな」
風丸は薬局の袋から薬やらマスクやらを次々取り出して机に置く。
「これは喉に効く薬、これは鼻水鼻詰まり…えっと…まるごとバナナは冷蔵庫だな」
何片づけてんだよ
ん?まさか帰る気じゃねぇよな?
「…帰んの?」
「俺がいたら眠れないだろ?」
「もうたっぷり寝たし」
「でも病人は寝るのが仕事だぞ」
なんなんだよこいつ俺の母親か?…恋人だろうがよ
「あのな風丸クン」
「ん?」
「風邪ひくとさ…心細くなるって言うじゃん」
「そうだな」
「……」
「………?」
わかれよバカ!
「帰りたきゃ帰れよアホ丸」
本当に子供っぽいんだけど俺は布団を深くかぶってそっぽを向いた。
「あ…いや、もう少しいる」
さすがに伝わったのだろうか、風丸はベット横に腰掛けた。
「…あっそ」
風丸が俺に微笑む。
親以外に看病されるのなんて初めてだった。というか風邪をひいたのだって何年かぶりだ。風丸と付き合ってなかったら今頃一人で死んでたかもな。
「熱は何度あるんだ?」
「知らねぇ。体温計なんて持ってないし」
「だと思って、買ってきた」
風丸は彼の用意した風邪グッズの山から細長い箱を取り出した。
「そんなもんまで買ったの」
「『備えあれば憂いなし』ってな。はい、あーん」
風丸は体温計を俺の口元に差し出す。
「脇だろ普通」
「これは口用なんだよ」
「んなもんあるかよ」
もう反論するのも疲れたので大人しく体温計を口にくわえる。
ちっ、どうせ『可愛いな不動』とか思ってんだろ
「不動可愛い」
風丸はそう言って俺の頬を撫でた。俺が熱いだけなのだろうが風丸の手はひんやりしていて気持いい。
もっと
風丸の手が離れる瞬間、不覚にもそう思ってしまった。
ピピッ
「38.2!?」
風丸は青ざめた顔で言う。
「そんなに驚くことかよ?風邪ってそんなもんだろ?」
「いやだいぶ高いぞ!び、病院に」
「へーきだって」
慌てて携帯を探す風丸の服の裾を軽く引っ張った。風丸クンはこういう少女漫画とかにありそうなベタなことされるのが弱いんだぜ。ほら今も頬赤くしてる。
風丸はまた元の位置にストンと座り直した。
「俺、何でもするから。無理するなよ」
そう言って風丸はもう一度俺の頭を撫でた。
(今日ばかりはベタベタされても不思議と嫌じゃないぜ。よかったな風丸。)
頭がズキズキ痛んでいたのだけれど、風丸に頭を撫でられてる時はそれが…ほんの少し和らぐような気がした。
風丸の手が離れる。
「なぁ」
「ん?どうした?」
「なんか…今日の俺は俺じゃねぇ」
「???ん?」
「普段は絶対思わねぇことを…お前にだな…」
風丸は首をかしげている。
「……もっと頭撫でてもいんだぜ」
「へ?」
ああもう!
顔がめちゃくちゃに熱い。風邪で熱かった分余計にだ。
「プッ…お前って本当」
ポンポンと風丸は俺の頭を撫でる。
「だから言ってるだろ?普段から素直にしてないと、甘えたいときに甘え方がわからない」
「誰が甘えてるって!?」
「お 前 だ よ」
風丸に頭をわしゃわしゃと掻きまわされる。
「次はどこを撫でてほしい?」
「まるごとバナナ」
「えー」
「んだよ食べてやるって言ってんのに」
「今のはラブラブな雰囲気になるところだろ〜」
そうは言いながらも風丸は冷蔵庫からまるごとバナナを取り出す。
「じゃあ口移しでいくか!」
「ばっか普通に食わせろ」
起き上がると、ずっと横になっていたからか頭がグラっとした。
「平気か?」
そんな俺の様子に気づいた風丸に肩を支えられる。あぁ、こんな姿他の誰にも見せられねぇ。
「…もう平気だから放せ」
「まぁまぁ、はい召し上がれ」
風丸の手からまるごとバナナを奪い取って食べる。
ちらっと横を見ると風丸がふわふわとした笑顔で微笑んでいた。
「なんだか…俺達らしくねぇな」
「そうか?不動が逃げないだけで、俺は通常運転だぞ」
「風邪のせいだ」
「はいはい」
風邪のおかげで、逃げない言い訳が出来た。
「美味そうだなー俺の分も買ってくればよかった」
「一口もやんねーぞ」
「あはは、いいよ」
風丸に肩を抱かれたままデザートを頬張る。そういえば今朝から何も食べてなかったな…なんだか腹が減ってきた。風丸にお粥でも作らせようか。
「欲しいモノとかしたいことあったら、強がらずに言えよ」
お粥…あ、でもそれよりも
(キスしたい)
「……」
「ん?何かあるか?」
うわ、さすがにこれはダメだ。この甘ったるい空気で言うのは
「バナナ2つ目はないぞー」
そっと風丸と目を合わせる。
「風邪、もらって」
「え?」
あぁやっぱり恥ずかしい。目を逸らす。
「あ!…はは、了解」
ちゅぅ
風丸が深く口づけてきた。ちょっと息苦しい。風丸の舌が俺の舌を拘束して唾液を吸い上げる。
「ん…ぅ」
俺はキスしたかっただけで本当にお前に風邪をもらって欲しい訳じゃねえんだぜ?うつったらどうすんだよ。
ゴクン
風丸が俺の唾液を飲んだ音が聞こえた。
マジでバカか!冗談じゃなくうつる!
「なっ、やりすぎ…ぅわ!」
風丸に押し倒される。いや勢いで言ったら押し倒されるというよりベッドに寝かされたと言った方が正しいか。
「不動は俺が責任持って治す」
「ハァ…ハァ…あ?」
「まずは風邪菌を吸い出します」
「ばっ、やめ…んんっ!」
風丸が俺の舌を吸い上げる。
「ふぅ…んぅ!」
あーダメだ声が漏れちまう。風邪のせいかいつもより苦しい。風丸は俺の上に跨って、重なる様にして俺を抑えつける。
「んん…んっ…ん」
息が上手く出来なくなってきた。風丸のキスがいつもよりしつこい。しかも息継ぎは一瞬で、病人の俺には辛い。
「んー!んー!」
頭がくらくらして身の危険すら感じた。水の中で溺れているような感覚。慌てて風丸の腰の辺りを思いっきり抓る。
「いたたたた!」
「ぷはっ!ハァッ、ハァ、ぁ…て、めぇ…っ」
視界がぐらぐらと揺れる。酸欠だよどうしてくれんだ。
「ハァ…び、病人に…ハァ…なにして…」
「俺に全部風邪うつして」
「あぁ?キスしてぇだけだろお前は」
「お前もだろ、不動」
「っ…!」
「ん?悪化したのか?顔真っ赤だぞ」
「…絶対お前にうつしてやる!」
渾身の力で風丸を引き寄せると勢い余って額同士をぶつけてしまった。そんなことお構いなしに唇を重ねて唾液を交換する。
俺達ってバカだな
ぶつけた額の痛みも忘れて長い長いキスを交わした。
「おお!具合悪くなってきたかも!」
「なーに嬉しそうに言ってんだよ」
当たり前だがキスなんかしたって体調がよくなるはずもなく。風丸がさらに上機嫌になっただけだった。でも
「お前が風邪ひいても看病なんてしねぇかんな」
「いいよ、不動が元気なら」
頭痛はなくなったかも。
体温は確実にさっきより上がってるけどな。
END
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お久しぶりです!サイト始まって初のキリ番リクがきました!
風丸さんが風邪をひく話では不動に風邪がうつらないようにしてましたが今回は逆で俺にうつしてー!みたいな展開になって楽しんで書けました!
リクエストありがとうございます!
2012/08/26