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R-18 宿舎のトイレで

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ガタッ



ドアに寄りかかると想像していたより大きな音がたち、思わず2人して動きを止めた。耳をすませて周りに誰もいないことを再確認し、不動が行為を再開する。不動の薄い舌が俺の性器に絡みつく。ヌルヌルと動くそれに反応し、じわじわと下腹部に血が集まるのがわかる。

(うわ すごいエロい)

不動の慣れた舌づかいが俺の中に渦巻くような嫉妬心を芽生えさせる。

クチュ ヌチュ

音の方を見ると俺が恋い焦がれた不動とグロテスクな俺のペニスが視界に入った。

(不動 不動)

この胸を締め付ける感情はなんだろう。

「はぁ…っ、は…」

息が上がるにつれて心臓がぎしぎしと締め付けられる。立っているのに、何かに沈んで溺れているような感覚。

(やばい やばい やばい)

一気に込み上げてきた射精感に思わず不動の頭を掴み、俺のペニスから引き剥がした。

「っあ…!…なんだよ」

不動は怪訝そうな顔で俺を見る。俺は不動をまともに見ることができない。そうだ、この感情は罪悪感。

「いや…俺、俺…やっぱり」
「はぁ?何、こんなになっといて嫌だとか言うわけ?」

そう言って俺のものを指でなぞる。俺の感情とは裏腹にそこはバカみたいに素直で、ビクビクと震えている。不動はそれを見てニヤニヤと笑う。

「そうじゃなくて…」


近い。

数分前まではそんなことだけで心臓が破裂しそうだった。話したり、目が合ったりするだけで嬉しくて。
夜中、たまたまトイレに行ったら不動と鉢合わせして、勇気を出して話しかけたら、話が弾んで…思わず、俺は告白した。
『嬉しいぜ、風丸』
不動ははっきりとそう返した。俺もその返事を聞いてどうしようもなく嬉しかった。その時は。


「そうじゃない ってなんだよ」

不動が俺の先走りで汚れた唇で言う。

「チンコ舐められて嬉しくねぇの?」
「…嬉しくない」
「はぁ?こんなバッキバキに勃起しといてよく言うぜ」

不動の言うとおり俺のものは普段より大きいし、不動が行為を止めてからも萎える様子はない。
ここは快楽にだけ反応するんだよ。でも俺の心はそうじゃない。お前だってそうだろう?

「…嫌じゃないのか?」

俺は恐る恐る聞いてみる。わかっているのに、でも、否定して欲しくて。

「こんなもの、舐めるなんて」
「…別にぃ?慣れてるし」
「そんなこと…!」

そんなとこ、何でもない様な顔で言わないで。

パコ パコ パコ

スリッパを引きずる誰かの足音。徐々に大きくなる。不動は再び俺のものに唇を寄せる。

ちゅっ

わざと音を立ててキスをし、俺のペニスを再び口にくわえる。抵抗しようとしたが足音がトイレに入ってきたのがわかり動きを止めた。不動はニヤリと微笑み舌の動きを速める。
「っ……!」
俺は慌てて自分の口を押さえた。レロレロと、いやらしく俺に見せつけるように不動は行為を続ける。本当に楽しそうにしゃぶる。

どうして どうして

俺の感情とは裏腹に射精感があっという間に押し寄せる。

だめだ だめだ
俺は こんなことがしたかったわけじゃ


パコン パコ パコ…

足音が遠ざかると共に不動の口元からグチュグチュといやらしい水音が聞こえてくる。

「不動っお前は…俺のこと…」

縋る様に聞く。不動は口周りの液体を中指で拭う。

「…好きだぜ?風丸クンのこと好き」



好き 好き 好き ?



好きってこういうことなのか?



「違うっ!」

俺は不動を無理矢理引き剥がす。不動は尻もちを着く。
好き。好き。
俺を支配していたそんな感情も、今では何かに塗りつぶされてしまったように、何の反応も示さない。

「ごめん ごめん」

ただそう言ってそこから逃げだした。
不動の悲しそうな表情も、その時の俺には見えていなかった。










「…なん、な……なんで」

立ち上がる気力もなかった。必死に風丸の言った言葉の意味を考える。もう、間に合わないのに。

『ごめん ごめん』

「好きって…言ったじゃん」

俺は間違った?なにを?

「俺だって…っ」

好きって これじゃだめなの
好きって こういうことじゃねえのかよ

「風…丸っ…!」

消え入りそうな声で風丸を呼んだ。
パタパタと落ちる涙を見てもらいたくて。

END
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不動も風丸も両想いだったのに自分の感情表現がうまくできなかったっていうお話。
風丸にとっては『好き』ってのは『そばにいたい』っていう感情に近いのに、不動にとって『好き』は『セックスをすること』とか『求めること』で、というかそれしか知らなくてすれ違う。
みたいなのが書きたかった…
明王は常識人だけど愛とか恋とかについては非常識、というか色々欠如してたらいいですよね!
トイレでプレイって設定…無駄にしちゃったか…な…

リクエストありがとうございます!
2011/11/28
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