リクエスト内容!→
ギャグ甘、風丸の猛アプローチに戸惑うけどそんな風丸のことが好きな不動

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「俺は不動が好きだな」

食堂で風丸の方からそう聞こえたので急いで頭を叩きにいく。
「いてっ」
「なに言ってんだばかっ!」
「おー不動は何のお菓子が好きだ?」
円堂が何事もなかったかのように俺に話を振る。
「は?菓子?」
「今好きなお菓子について話してたんだぜー。風丸の好きなお菓子は不動なんだってさ!」
「な…な、てめ…そんな」
「考えたんだが不動しか頭に浮かんでこなくて。あ、それより一緒に風呂入ろうぜ」
「誰がお前となんて入るかっ!」
「いてっ」
2週間くらい前、夕食中突然風丸に告白された。「俺、お前のこと好きみたい」と。それからというものずっとこんな感じで、隙あらば俺の隣にいるし何かにつけて好き好き言ってくる。2週間も続けば周りも慣れたもんで笑って流したりしているが、迷惑なことに中には風丸を応援しだす奴もいる。
「何お前らまだ付き合ってなかったの?」
「そうなんだよ。俺がこんなに愛を」
「あ…愛とか言うんじゃねえっ!」
「一度勢いで断った手前、素直になれないだけなんだよね?」
クスクスと吹雪が笑う。他のメンバーもそう思っているのかうんうんと頷いている。だめだ。ここは完全に風丸の領域だ。
「あ!待てよ不動一緒に風呂」
後ろから風丸の呼びとめる声が聞こえたが無視して食堂を出る。自分の部屋も安心できない。昨日だって…というかほぼ毎日風丸が訪ねてくるからだ。おれはジャージを羽織ってランニングに出かけることにした。宿舎を出る時も細心の注意を払う。ここで風丸に会っては元も子もない。
宿舎を出ていつものコースへ足を向けた。





「ちくしょう…」
コースのちょうど半分くらいのところで絵にかいたような土砂降りに襲われてしまった。シャッターの閉まった店のひさしで雨宿りする。ジャージはびしょ濡れ。特に靴の中はぐしょぐしょで気持ち悪いことこの上ない。
こんなことなら風丸と風呂に入ってたほうがまだマシだったぜ…


止まなかったらどうしよう。
ここで雨宿りを始めて恐らく20数分程経っただろうか。雨の止む気配はなく、さすがに濡れた体は冷えてきた。座って体を丸める。こうなったら走って帰るしかないか…
「見つけた」
「え」
見上げると風丸が立っていた。はぁはぁと息を切らしながらも表情は笑っている。
「よかった」
「お、お前なんで」
「すまん!こんなに濡れて…俺がもっと早く来ていれば…」
俺を見て、風丸はジャージを脱ぎ俺に渡そうとする。
「いらねえよ!」
「そう?でも、これは受け取って」
傘を無理矢理渡された。
「じゃあ!」
「へ?」
風丸は傘を持たずに走りだす。というか俺に渡すつもりなら2つ持ってくるもんだろ!
「おい!」
「ん?」
「傘…いいのかよ」
「ああ!不動に渡すために持ってきたんだ!」
そう言って風丸は雨の中走りさって行った。
「そうじゃなくて…」
相合傘とか
「…しなくていいのかよ…チャンスじゃねえかよ。ばか」
火照った頬を冷ましながら宿舎に戻った。






昨日の借りがあるから、今日くらいデートでも付き合ってやろうかな。

夢の中の俺はそんなことを考えていた。でも本当に誘われたらどうしよう。偶然今日は丸1日オフで練習はない。
「あ、おい不動。こんなとこでだらだらしてていいのか?」
洗面所でぼーっと歯を磨いていると佐久間が声をかけてきた。
「は?今日なんかあったっけ」
「お前の旦那だよ。熱出して寝込んでるらしいぜ」
「え」
朝食の時いないと思ったらそういうことか。熱の原因は明確だ。雨の中走り去る風丸の後ろ姿を思い出す。
ほんっとばかだな。
「あ、知らなかったのか。じゃあ早く見舞いに行ってやれよ」
「な、んで俺が……あと、次旦那とか言ったらぶん殴る」
佐久間はニヤニヤしながら「はいはい」と言う。しばらくすると吹雪が隣にやってきてさっそく俺に言う。
「不動くん、風丸くん熱あるんだって。看病大変だねえ」
佐久間が横でクスクスと声を抑えながら笑う。イライラしながら足早に洗面所を出て部屋に戻ろうとすると鬼道が向こうから歩いてきた。
「おい不動、風丸が」
「知ってる!」
なんなんだどいつもこいつも!
…だいたい看病なんてなにやったらいいんだよ!
俺は昨夜の傘を持って風丸の部屋に向かった。



「あ、不動君」
風丸の部屋の前で入室を躊躇っているとマネージャーの久遠冬香に見つかった。まぁでもこの宿舎の中では無害なほうだ。俺は慌てて廊下を通りすがったふりをしたがそんな事が今さら効果を持つはずもなく。
「よかった」
久遠(娘)はそう言うと持っていた荷物をすべて俺に押し付けた。タオルに風邪薬、ペットボトル、氷嚢etc…
「なっ」
「こういうのって男の子同士の方がいいと思うの。私がいたんじゃ、風丸くんも気つかっちゃうと思うし」
うっ
これじゃ何も言い返せない。というかそもそも俺はこいつが苦手だ。
焦っていると久遠はさらに俺を追い込むような長文を吐く。
「本当はね、不動くんは部屋に入れるなって風丸くんに言われてるの。風邪、うつしたくないんだって。風丸くんって本当に不動くんのことが好きなんだね。だってこんな時にも好きな人を思いやれるって、すごいその人の事を大切に思ってるってことでしょ?でもやっぱり風邪のときって心細いから…不動くんが来てくれたら風丸くんきっと喜ぶと思う。あとどうして傘なんて持ってるの?」
顔が爆発しそうだ。久遠は「傘立てに戻しておくね」といい俺の手から傘を奪って去って行った。
こんな顔で部屋に入ったら風丸に何を言われるかわからない。部屋に訪れる為の言い訳に持ってきた傘も奪われてしまったし。しかしこのまま廊下につっ立っていればもっと危険な奴ら(佐久間、吹雪など)がやってくる可能性が高い。
「は、いるぜ」
ノックが出来ないので小声でそう言って風丸の部屋に入った。

風丸は眠っていた。俺はいわゆる『ホッと一息』をついて荷物を机の上に置く。
氷嚢。すでに氷と水が入っている。これくらい使い方は知ってる。額にのせるのだ。
…これくらいはやってやるか。
風丸はチャームポイントのポニーテールを解いていた。頬はほのかに赤い。というか寝顔なんて初めて見た。
まつ毛長…
風丸の顔にはいつもと同じように長い前髪がかぶさっている。
まずこれをどかして氷嚢をのせなきゃならないのか。
風丸の髪。髪を…
ドクンドクンドクン
うああああ!なんで俺がこんなこと!
額を出させようと風丸の髪に触れた。ますます心臓の音がうるさくなる。
風丸より俺の方が顔赤いんじゃねぇか!?
「ん…」
「っ!!」
「んぐっ」
ベシャ
驚いて風丸の顔の上に氷嚢を落としてしまった。風丸もそれに驚き頭を振る。
「つめたっ…不動!」
「お、おぅ…」
風丸が慌てて起き上がる。雰囲気がいつも好き好きと迫ってくる風丸とは違って、緊張しているようだ。
「起きていいのかよ」
「大丈夫。あ、不動に風邪が」
「せきとかしてねえから平気だろ」
風丸は手櫛で髪を整える。
「…来てくれるなんて思ってなかった」
「お、おぅ」
「不動が来るって知ってたら、もっとかっこよくしてたのに」
「なに言ってんだよ…」
風丸は青い前開きのパジャマを着ている。いつも俺の部屋に来る時はジャージだったので、それで寝ていると思っていた。
…パジャマもかっこいいけど
「はっ!俺いびきとかかいてなかったか」
「かいてなかったぜ」
「かっこよかった?」
「なにきいてんだよばか」
風丸は先程より真っ赤な頬で笑う。その赤い顔を見ていると罪悪感が胸にひろがった。そうだ風丸に言わなければ。傘のお礼と、風邪をひかせてしまったお詫びと。
「昨日は…傘…どーも」
「そうだ!不動は熱ないか?」
ふいに久遠(娘)のセリフが頭をよぎった。ああもう俺こういうの苦手。
「俺のことはいい。それより……わるかったな…」
「ん?なに?」
「いや…つか、やっぱ横になってろよ…俺が起してるみたいじゃん」
「大丈夫。不動が来てくれてだいぶよくなった」
「顔赤い」
「だって好きな人と2人きり」
「そ、そうじゃなくて…熱ってひどいのか?」
「ん?平気平気」
「あ、そだ…ほら冷えピタ」
「やだよそれかっこ悪いだろ」
「またんなこと言って…貼ってやるから」
「え!」
久遠(娘)に渡されたものの中に熱冷ましのシートがある。箱を開けて1枚取り出す。ぺりぺりとビニールのシートを剥がす。って、これって貼る直前に剥がすもんだったか?
「…早くおでこ出せよ」
「はい(『おでこ』って言う不動可愛い)」
風丸は前髪をかきあげる。俺はベットに座り体をひねる。
「…こっち向けよ」
なんだかこの状況だと恥ずかしいセリフだ。
こんなもの他人の額に貼ったことなどない俺は意味もなく貼るのを躊躇う。というか風丸が恥ずかしいくらい俺を凝視してくる。
「…みすぎ」
「え!?『好き』?」
「見過ぎ!」
俺は至極丁寧にシートを貼ってやった。密着させようと上から何度も撫でていると風丸がニヤついているのがわかり途端にものすごく恥ずかしくなった。急いでベッドから下り床に座り直す。
「サンキュ」
「ん…」
「俺今すごく幸せ」
「熱あるくせに」
「好きです」
「はいはい」
来てよかった。なんて思いながら、いつも2人で過ごすときのように、たわいのない会話をした。

しかし、俺が油断してたときだった。
「お前のそういうとこ、好き」
「あーはいはい」
「なあ…そろそろ」
「ん?」
「『はいはい』以外の答えが欲しい」
「え」
風丸は微笑んでいたけど、目がめちゃくちゃ真剣だった。
『はいはい』以外の答えって…それが言えないから『はいはい』つってんだろ!
「なに言ってんだよ…」
「好き」
「わかったって」
「そうじゃなくて」
「…言えねぇよ…俺の性格わかってんだろ…」
わかってる。風丸は全部わかってて俺に聞いているのだ。
俺も風丸のことが好きだってこと。素直になれずに曖昧にしか返事できないでいること。
まぁ吹雪にもばれてたしな…
「じゃあ…円堂と俺、どっちが好き?」
「は?」
「円堂と俺。どっちか選ぶとしたらどっち?」
「…お前」
「佐久間と俺は?」
「…お前」
「…鬼道と俺は?」
「…お前だよ…」
「じゃあ俺、1位?」
キラキラした目で風丸が言う。
「ん…暫定1位」
「やった!優勝賞品は?」
「フッ、なんだよそれ…じゃあ賞品。風邪薬」
「キスがいいな」
ドクン
風丸にこうはっきりとキスをせがまれたのは初めてだった。
「調子に乗んなばか!」
驚きからか、緊張からか、声が震えていたことに自分でも驚いた。
「あ!ウソウソ怒らないで…傍にいてくれるだけでいいから」
俺だって風丸が喜んでくれるなら、いつまでだって隣に…
そんなこと絶対言わねえけど。

「…早く直せよ」
「うん。ありがとう」

END
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こんにちは!
まず初めに…この不動誰(泣笑
ギャグ甘じゃなくてこれ甘々ですねいやでもキャラ崩壊気味なのがギャグ?笑
風丸が雨宿りしてる不動を迎えに行く話…このサイトでも何度かかいた気がしますが、大好きなんです!濡れそぼった明王を風丸が暖かく包み込む…(今回包み込んでないけど)というか風不は雨とか冬とか秋とか似会う。というわけでこれからは風不の季節!
不動のことになると崩壊しちゃう風丸いいですよね!「好き好きー!」って言われて「ば、ばかっ!」ってなる不動可愛い。風丸も不動のそんな姿が見たくて好き好き言ってるんだと思います。

リクエストありがとうございます!
2011/09/05
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