リクエスト内容!→
風→→←←不
(両方片思いと思っている風不
他の人を好きと勘違いしていたり)

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「不動」
「………」

俺はどうやら不動を怒らせてしまったらしい。
だが全く心当たりがない。俺はいつも通り不動の部屋を訪れ、そのまま無理矢理に居座って不動との時間を楽しんでいた。



今日は宿舎でたまたま見つけたけん玉を持ってきた。初めは「くだらねぇ」と言っていた不動だったが、下手な俺を見て我慢できなくなったのか「貸してみろ」と言って遊び始めた。不動はとても器用で一通りの技を披露してくれた。俺が褒めると不動はツンとすましながらも少し照れくさそうにした。可愛い。胸が苦しくなった。


「あとで鬼道ちゃんにやらせよーっと。ボンボンだからできねぇぜきっと」

「…どうだろうな?鬼道も器用だから…」

俺はこれ以上のことが返せなかった。

不動が口に出す人物の名前は、9割が『鬼道』。俺は不動の口からその名前が出る度に胸がえぐられるかのように苦しくなる。
何故、って、それを認めてしまいたくはなかった。失恋が約束された恋など、今の俺には少し重い。
毎晩ここに来てる時点で認めているようなものなのだが。

「そういえば小学校のとき…」

俺は話題を変えた。これ以上鬼道の名前を聞きたくなかった、というのが一番の理由。

するとそれから不動は機嫌が悪くなっていった。けん玉の成功率もぐんぐん落ちて、終いにはムスッとしたまま雑誌を読む振りをしだした。
どうしよう。俺は何をしてしまったんだろう。

「不動?」
「………」





「…怒ってるのか?」
俺は別に怒ってるわけではない。機嫌が悪いわけでもない。
ただ胸の痛みが治まるのを待っているのだ。

風丸の話には決まってある人物が登場する。『円堂守』。風丸の幼なじみで、風丸がサッカーを始めたきっかけを作った奴だ。つまり俺が風丸と会えたのもこいつのおかげ。
風丸は円堂の話を楽しそうにする。昔話なんかをするときは話の9割に円堂が登場する。今の話もそうだった。一度、「お前円堂大好きだよな」と言うと風丸はさらっと

「あぁ、好きだな」

と返した。
心臓をザクッと刺されたような衝撃が走って

それ以来風丸が発する『えんどう』という音は俺を苦しめている。
同性を好きになって、両想いになりたいだなんてそんなおこがましいことは考えていない。
なのにこうやって毎晩俺のとこに来る風丸に期待してしまう。しかし毎晩その淡い期待は『円堂』という存在によって裏切られるのだった。



「そんなんじゃねぇよ」
「そうか?ならいいんだが…」
「………」
「………」
「…続きは?」
「え」
「続き。円堂がどうしたって?」
「あ…あぁ、その後―」



痛くて、苦しい。でも、こいつと一緒にいたい。
矛盾に満ちた感情は日に日に強く大きくなる。


(円堂の話すんな、なんて言うの変だし)
(鬼道のこと嫌いだと思われたら困るしな…)


好きだから
と、言ってしまえればどれだけ楽だろう。



「なぁ」「あのさ」
「………」
「………」
「なに」
「いや、不動から」
「………」
「………」



うわ。俺何考えてんだろ。
好きだって言いたい。言いたい。

でも


言ったらもう明日から、2人きりのこの時間はなくなるかもしれない。




「何言おうとしたか忘れた」
「え」
「お前の番」
「あー…俺も今度でいい」
「んだよそれ」


俺がもう少し、未来を無視することができたら


(いつか)
(いつか)

(伝えよう)
(絶対に言うんだ)
























お前が好きだ、って。




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はい佐久間です!5000リク記念すべき1つ目です。
風→→←←不ということで片思い大好きなんで楽しかったです!
でもこれじゃあ風→←不だったかなあ…と。→が2つずつ、って2人の間に結構距離があるのかなあ、もしくは想いが強いのかなあとか。
風→←不と風→→←←不の違いって難しい…!

リクエストありがとうございます!
2010/12/20
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