「い、痛く…いたくしろ」


不動は時々こうして痛みを欲しがる。

でも俺はそれを与えてやることができなかった。







「っう、ぁ、ア…ぁっ」
どうやったら不動に痛みを与えられるのか考える。なるべく乱暴に指をねじ込んでみたり、イかせなくしてみたりはするのだが、不動が苦しそうな顔をするだけで正直気が気でないし、涙なんて流されたら抱きしめて謝りたくなる。
つくづく自分は、こーゆープレイには向いていないと実感する。

「ぁっ…ひぃっ!」
「!!ふど」
予告なしで自身を挿入しようとすれば、不動が悲痛な声を上げた。
大丈夫か、と言おうとしてやめたのは、不動に禁止されていたから。
「っばか…続け、ろ」
言われた通りに腰を進めれば、不動は目をつむり、身をよじらせる。
「痛っ…く…」


あぁもうどうして。大切な人を苦しめなきゃならないのか。


不動は痛いのが好きらしい。俺とのセックスは痛くないらしく、もっと痛くしろと行為を終える度に言われる。

「ぉい」
「え」
「早く動けよ」

痛くしろと言われる度に、今まで不動を抱いてきた奴らの影がチラつくようで、発狂しそうになる。

「っう、ぁあぁぁぁ!ハァッ…ア」
挿入途中だったが、言われた通りに無理矢理腰を打ちつける。不動の腰をつかみピストン運動を始めると、不動はパタパタと足を震わせた。
「あ、アァ、あ、あ、あ」
なぜ痛いのがいいのかと聞くと、安心するから、と不動は言った。
「…不動…っ痛いか?」
「っは…ぜんっぜん…」
不動は笑って言う。
ごめん、と呟けば不動は
わかってねぇな、と言った。

わかってないのはお前だ。俺はお前を誰よりも大切にしたいのに。


















風丸は痛みをくれない。

風丸が優しく優しく俺に触れる度に、俺は不安になる。
風丸が、今まで俺を抱いてきた奴らとは違いすぎて。


あぁ、頼むから
俺を酷く抱けよ。そうしたらお前を
嫌いになれるのに。



2010/10/24
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