「なにニヤニヤしてんだよ?気持ち悪ぃな」
フォークをカチャリとテーブルに置き、不動が向かいの男をにらみつけた。
ボサボサの頭に少しだれたタンクトップというラフな出で立ちの不動とは対照的に、長い髪はすでに結えてあり身支度はすっかり済んでいる。
ふわふわのスクランブルエッグを咀嚼し終えると、風丸は言う。
「いや・・・料理うまくなったなあ、と思って。最初はあんなだったし」
しょっぱかったり、焦げていたり。味が薄かったり、火が通っていなかったり。
一緒に暮らし始めた当時の不動の料理は、おいしいどころか結局風丸を困らせるだけであった。
「当たり前だろ!それまで家事なんてほとんどしたことなかったんだから」
毎朝、風丸が作る朝食のいい香りで目が覚めた。
一日中警官という気の張る仕事をこなして疲れているのに、不動より早く起き、ご飯を用意する。
不動は悔しかったのだ。
自分も働いていないわけではないが、フリーターと警官では当然負担が桁違いなはずである。
それなのに風丸は自分のために色んなことをしてくれていた。
そして自分はそれに甘えているのだ。
できないことなら、練習すればいい。
サッカーでもそうだった。
家事だって、同じだと思った。ほどよく焼けたトーストと、スクランブルエッグにちょっとしたサラダ。
簡単なメニューではあるが、少しでも風丸がよろこんでくれるように真剣に作った。
本人には決して言わないが。
「おいしいよ」
そう言って優しく笑う風丸に、顔を背けてボソリと返す。
「うるせー。黙って食え」
うれしくて、顔がゆるんでいるのがばれないか心配になった。


風丸はトントン、と靴を鳴らしながらドアノブに手をかけた。
「今日はたぶん帰れると思う。夕飯はオレが作るから」
「えっ」
夕飯もオレが、と不動が言いかけたその口元に、不意に軽くくちづけが落ちた。
「そんなに気負うなよ。オレも不動に自分の手料理を食べてもらいたい、それでいいだろ?」
「風丸・・・」
やっぱり、甘すぎる。でも心地いい。
「じゃあ、楽しみにさせてもらうことにしとくぜ」
「その代わり、夜は不動に頑張ってもらうからな」
「なっ!」
カアッと頬を朱に染めた不動を尻目に、「いってきまーす」と軽快な足取りで出かけてゆく風丸。
明日の朝食を作るのは、無理かもしれない。



--------------------------------------------------------------------------
塚井がまたまた書いてくれました〜!
私が結構ずっと前から書いて書いてとしつこくリクエストしてた風不の○年後!
警官風丸×不動!
ハアハアやばいっ!これはやばいぞっ!←

塚井にコメント頂きました
→超次元には長髪の警官もいるんです。

ありがとう!やっと関係あるコメントもらえた!
続編楽しみにしてるよ〜!笑

塚井の小説をうちにアップするのもこれで3つめです!
そろそろ塚井をもこもこ研究室の助教授にでも向かい入れようか(ちなみに教授は私。笑)
2010/10/01  塚井あさはけ
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -