まただ。
不動の臀部に腰を強く打ちつけながらその膝あたりを支えている俺の手に、必死にすがってくる手がある。
「不動、この体勢じゃ苦しいだろ」
一旦動きを止め、不動の手をシーツの上にそっと置く。
「……うるせぇ。オレの勝手だ」
「……」
またピストン運動を始めると、今度はその両手を自分の口元に当て声を詰まらせる。
「…っ、ん…んんっ…ふ」
その不器用さは俺を困らせると同時に、どうしようもなく不動への愛しさを増していく。
また腰を休め、不動の頬に触れた。
「そうやってたら声、聞こえなくなるだろ……俺にしがみついてろよ。引っ掻いてもいいから」
「前、傷跡見てぐだぐだ言ってたじゃねーか。それにそんな甘ったれたことできるかよ」
(無意識にすがりついてくるくせに……)
オレは小さなため息をつき、すぐそばに放り出されていた大きめの枕を不動の頭の下に据えた。
口では反抗的に振る舞うが、誘導してやるとすんなりと従う。
オレにとってはそれが嬉しくもあり不安要素でもある。
感度のいいこんな身体じゃ、あっさり流されて俺以外にも開いてしまうのではないか。
「じゃあ枕のふちにでもしがみついてろ」
不安は苛立ちに姿を変え、少し冷たく言い放ってしまった。
不動は憮然とした表情のまま俺の言うとおり、白い枕を同じく白い手でぎゅっと掴む。
俺は不動の足を抱え直して、また自分の熱を不動の中に擦りつけ始めた。
「んああっ、あっ…ああっ、か、ぜまるうっ…」
その上ずった声が更に俺の激しさを増長させた。
痛々しいほどに力強く握るその手が視界にちらつく。
また、すがりつくような視線が俺に向けられているのに気づく。
「…っ…不動、…!」
絶頂に達しようとしている俺がさきほどよりリズムを上げると、眉間に皺をつくり、圧迫感かそれとも快楽のためか不動の瞳は閉じられた。
不動は気づいているのだろうか。
自分が誰かにすがっていたくてしょうがないことを。
そのせいで俺が、無愛想で面倒なお前を手放せないでいることを。

END

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またまた塚井に風不を書いてもらいました!わーいわーい!

塚井にコメントもらいました!→
鬼道はソロでは受でも、鬼不になると攻に。二階堂監督も豪炎寺相手では攻に。そんな浮世を憂いながら書きました。

………あ、ありがとう。また書いてね!

2010/08/18 塚井あさはけ

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