お似合いの二人
お似合いの二人
「これは由々しき事態ね」
リジアのその言葉に、流夏は静かに頷いた。
「確かにマズイな」
「なんであの二人、二人っきりで出かけてるのよー!?」
あの二人、とはリジアと流夏の前方を歩く二人のことだ。
一人は流夏の想い人である麗羅。そしてその隣を歩くのはリジアの想い人であるヘクターだった。
「あれー?ヘクターに麗羅じゃない!どこ行くの?」
「あ、リジア。ちょっと二人で買い物に行くんだ」
ねっ、とヘクターに言われると麗羅も頷いた。それを聞いたリジアは凍り付いた。しかし、そんな彼女をよそに二人は楽しそうに話を進める。
「行ってきますね、リジアちゃん」
「う、うん!行ってらっしゃい!」
「行ってきます」
ヘクターは嬉しそうにニッコリと微笑んでいなくなった。二人がいなくなるとリジアはその場に座り込んだ。
「嘘だー!」
「何がだ」
「わっ!ビックリしたー!」
いつの間にかリジアの後ろには流夏が立っていた。座り込んでいるリジアを不思議に思って近付いてきたらしかった。
「こうしちゃいられないわ!流夏!」
「な、なんだ」
勢いよく立ち上がったリジアに少し驚いた様子の流夏。そんなのお構い無しに話は進んでいく。
「後を追うわよ!」
「は?」
腕を掴まれて引っ張られながら、流夏は不機嫌そうに適当な返事をした。
「ヘクターと麗羅が二人で出かけちゃったのよ!気にならないの?麗羅って面食いでしょ?」
リジアのその言葉で流夏も状況を把握した。そして突然、歩くスピードを上げた。今度はリジアが引っ張られる形になる。否、引きずられるに近い。
「ちょっと!それじゃわたしがついていけないじゃない!」
「悪い」
「悪いと思ってるならスピード落としてよ!」
流夏はため息をつきながら、渋々スピードを落とした。
そして、今に至る。
「今のカップルすごくお似合いだったねー!」
「銀髪のイケメンに金髪の美少女かぁ」
リジアと流夏にまで聞こえた人々の話し声。確かにあの二人が並んでいるのはとても絵になっていた。
「確かにお似合いよね」
「おい、言うんじゃねぇよ」
「あそこのカップルもお似合いじゃね?金髪の女の子と黒髪の男の子」
聞こえた声にリジアも流夏も顔をひきつらせた。
「そうだな。どっちもちっちゃくて」
「誰だ!今ちっちゃいって言ったヤツ!」
腰の剣に手をかけながら叫ぶ流夏をリジアが必死に取り抑える。
「まあまあ!事実だしさ!」
「だからなんだ!気に食わねぇ!」
「あれ?リジア?」
「流夏さんも。こんなところで何してるんですか?」
二人で叫んでいたため、前方の二人に気付かれてしまったらしい。
「いやー、偶然ね!さっきそこで流夏にも会ったばかりなのよ!」
「そうなの?でもちょうどよかった」
「そうですね」
「はい、これ。リジアに」
ヘクターが取り出したのは淡い紫色のリボン。
「へ?」
「私とお揃いなんですよ」
そう言って全く同じリボンを取り出す麗羅。
「私がリジアちゃんとお揃いのものが欲しいと言っていて。そしたら、ヘクターさんがリジアちゃんの分は買って下さると言ってくれたので」
「一緒に買いに来てたんだ」
「な、なーんだ!ありがとう!」
そう言って笑うリジアに麗羅が近寄った。
「友達の好きな人に興味はありませんよ」
「なっ!?」
途端に真っ赤になるリジア。当のヘクターは何もわかっていないようだ。
「そういえばこのリボン、流夏の色だね」
「そ、そうか?」
「麗羅、真っ先にこれを選んだんだよ」
そう言ってニッコリと笑うヘクター。その言葉に流夏は真っ先になる。
「頑張ってね」
「余計なお世話だ!」
「どうかしましたか?」
何もわかっていない麗羅に流夏はため息をついた。その時、リジアと目が合った。
「お互い、大変ね」
「そうらしいな」
二人は顔を見合わせながらお互いの想い人の鈍さに苦笑した。
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しーちゃんに貰った誕生日プレゼントのコラボ小説です!もうルカリジの可愛さにやられちまって頭から花生えそう。
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