ブルースカイは イン ザ サン!AH!イェーーーイ!!バイク搭乗!バイク上等〜〜〜いええええええい!最高でーーーす!DEATH!!
元ネタが分かる人は俺と握手!どうも、いつもニコニコ貴方の後ろに這い寄る混沌!嘘です。メリル君です!!バイクに乗るの久々だからテンション高いよ!!いぇーーー!!!
まぁもうバイク乗ってないんですけどね。
ええ。…いや、なんていうか。はい。事故なんですよ、事故。うん、まごう事なき事故。ちょっと調子にのっちゃったっていうか…なんていうか…。
まぁ、あれだよね。あの、柱の男の人と戦った時みたいに大きくなれるかなって思って試してみたらほんとに大きくなれたんでね、その…服は、破れちゃったんだけど、思いのほか上手くいったからその…うん。気を良くしちゃってね。適当にやったらエンジンもかかったし…これは神が俺に乗れと言っている!とテンション上げちゃうじゃん…?
事故った。
いや、揶揄でも比喩でもなく、事故った。
そりゃあもう盛大な事故だ。理由はとてもお粗末な物で、俺がカーブ曲がるのに失敗したと言うだけなのだけれども。バイクから転がり落ちた俺と、そのままの勢いで横転してスピンするバイク。そして…爆発、のちに炎上。
おおう…神は言っている…調子に乗るなと…。
ごうごうと火を上げるバイクをみながら一人頷いた。幸い自損事故だ。バイクの持ち主には悪いが、これは謎の事故として闇に葬られる事を祈ろう。俺もバイクから放り出された時ちょっぴり怪我をしたが、すぐに治りそうなので気にならない。かすり傷程度だ。こういう所に幸運を発揮してどうするんだろうか、。
しかし随分調子に乗っていたらしい。気が付けば違和感の源は気配も後ろにあった。いつの間に追い越したのだろうか。段々こちらに近づいてきているような。そういえば先ほど通った道路の混雑具合はすごかった…中国の影に隠れがちだが、インドだって世界第二位の人口を誇る国だもんな。
なんて感想はさておいておこう。問題はこれからどうするかだ。誰も死なせたくない、となると父さんを止めるのが一番手っ取り早いかなぁ。でもどうやって止めるよ?とりあえず今どうやって物理的に止めるよ?…車の前に飛び出す、は…流石に死ぬかもしれない。あと痛みでたぶん説得どうこうじゃ無くなる。うーーん、ひとまずはジョセフ兄ちゃんと合流かなぁ。そうなるとジョセフ兄ちゃんたちも一体どうやって止めるかという事になり無限ループ。まぁその前に父さんと間違えられて攻撃される可能性も大きい訳でね!!死活問題!!むしろ死亡フラグ!!!まぁ死亡フラグなんて最初っからなん本もたってるからいいっちゃいいんだけど。じゃあそうするか。適当に前に飛び出して止める作戦で。
そんな事を考えているうちに、ドグォォオオンなる酷い音が鼓膜を揺らした。えっ?何事だ?
思わず振り返る。どこかで煙が上がっているようだ。事故だろうか。じくじくと違和感を発し続ける星に、何となくそれだけであると言う可能性を否定する。なにかあったのだろう。ジョセフ兄ちゃんは、あるいは父さんか。もしくはじょうたろうくんかもしれない。
俺は一度深呼吸をすることにした。目をつぶって大きく息を吸い、吐く。目を開けても、景色は先ほどと変わらない。だが状況は動いているらしい。次々と上空で爆発が起きていた。今の位置からはちょっと遠い。走らなくては。目指すのは…鉄塔のあたりだろうか。なんとなく。
ちょっとばかり助走をつけて、壁を蹴る。その反動でぐんッと体は上空へ。そうだ!壁蹴りだ!!某御髭のイタリアンな配管工の使うあの技だ!!素敵だ!!将来的には二段ジャンプくらいできるようになりたいよね、ヒャッハーー!向かい側の壁も蹴りあげて再び上へ!ピンクの悪魔の仲間のハムスターも真っ青な壁蹴り!!どこぞの屋上へと飛び出すと、再び音をする方向へ目を―――向けようとした。
何かがつっこんできたのだ。目の前の給水タンクに、何か。
ぷんと血の匂いがする。びちゃびちゃとタンクから水が漏れだして、俺の足元まで濡らしていた。
な、なんだこれ。おどろいて思考回路が停止した。今何が起きたのかさっぱり、全くもって理解できないんだが!
驚いている間にも話は進む。またも破壊音が轟いて、どうやら前方にある時計塔の一部が破壊されたらしい。その攻撃はどうやら目の前の給水タンクかららしく…ってことは、ここにめり込んだの人間ってこと!?あ、良く見たら下にたまった水に血が混ざっている。しかも大量だ。この出血量じゃあ…あわててタンクの前に飛び出すと、そこに居たのは見覚えのある人物だった。
「典明兄ちゃん…」
そこには、いつか会ったピンクの髪の兄ちゃんがいた。腹部にズッポリと穴があいていて、横には消えかけのスタンドが漂っている。
これは。
こ れ は ま ず い !
俺のスタンドは運命を変えるのだ。それもほんのちょっと先の未来のみである。だから今まさに死に向かっている典明兄ちゃんの運命を変えることはできるが、死んでしまった典明兄ちゃんの運命はもう変わらないのだ。
「Moira!」
俺は脊髄反射的にスタンドを呼びだす。なんだか彼女を見るのは久しぶりなような気がした。その細くて綺麗な指が、あの時と、シーザー兄ちゃんの時と同じように糸を紡ぎ出す。早く!典明兄ちゃんのスタンドはもうほとんど見えない。俺はとりあえず背中が見えるように深くめり込んだ給水タンクからずるりと兄ちゃんの体を引き出した。力はもうない。身体も、酷く冷たい。
Moiraがそっと、兄ちゃんの背中にある布に一本の糸を継ぎ足した。いつかと同じ、暖かい色の「生きる」と示された糸。その途端、不思議な事に兄ちゃんの体温が戻り始めた。
「……はぁ…」
思わずため息をつく。これは間に合った、のだろうか。運命を変えることによって一体どんな治り方をするのか、俺には皆目見当もつかない。でも体温は戻ってきたし、心なしか腹部の傷も小さくなっている。すでに決定した未来はよほどのことが無いと覆らないので(というのは実証済みである。主にお皿とかで)、ここから典明兄ちゃんが起きてまた父さんに攻撃して再度何かしらの致命傷をくらう、とかいうことが起こらない限り大丈夫だ。…ありえそうで怖いな。お医者さんこっちです!!早く回収して下さい!!
どこかでまだ破壊音も響いてるしんああああああああ!いかなくっちゃ!!典明兄ちゃんは…大丈夫だろう!放置!!死にゃあしないなら放置!!大丈夫、こんなけ盛大に音出したんだから誰か気付いてくれるって!!
血まみれの服のまま、典明兄ちゃんを置いて俺は再び床を蹴った。父さんとか、ジョセフ兄ちゃんとか、どこに行ったんだろう。建物を2,3移動したところでばさばさと羽音が聞こえてきて振り返る。
「あれ…」
そこに居たのは、白い梟だった。俺はこの梟をよーく知っている。
「ブリンガーオブグッドラック!」
幸運の運び手。屋敷に帰ってからとんと姿を見なかった彼だ。…まぁ、性別がなんなのかは知らないけど。
グッドラックは勝手知ったるとばかりに俺の頭にとまると、「ホゥ」と一声鳴いた。今までどこにいたんだろう。もしかしてずっと外に?まぁ今は置いておこう。ここでグッドラックが仲間に加わった事は正直かなりありがたい。どんな時でも、やはり幸運というものは生死をわけるのだ。
と言った矢先、つるりと足を滑らせて俺は建物の屋上から地面へ落下した。上空15メートルからの自由落下!おい幸運どうした!さっきまでの幸運!!おい!!
まぁでも慌てず騒がすナイス着地。身体能力高くてよかった。普通なら死んでる。
着地してため息をつくと、再び爆発音がした。…案外近い。どうやら落ちた方が幸運だったようだ。あやうく通り過ぎるとことだった。煙の上がっている方に目をやる。そこで。
かちん、と。
なにか違和感を覚えた。
この感覚をなんと表せばいいのか分からない。ただなんというか、そう、セメントで覆われているかのような、薄い膜が身体を包みこんでいるかのような、奇妙な感覚だ。空気が重たく、まとわりつくようである。
なんだ?と思ってあたりを見まわし、そこで気が付いた。
煙が動いていない。
先ほどあれほどもうもうと舞っていた粉塵は、今や写真のようにひたりとその動きを止めていた。よく見ればあたりに居る人も、車も、はては動物さえもとまっていた。まるで、そうだ、時が止まっているかのような。…あっ。
思いだした!数年前の出来事が、突然鮮明に蘇った。これだ、これこそが父さんのスタンド能力!ザ・ワールド!時を止めるスタンド!!
…むしろなんで今まで忘れていたんだろうか。有名も有名だろうに。そう言えば東方で某メイド長が使う弾幕にもあったよね、「私の世界」。…違ったかな?咲夜の世界だったかな?ごめん俺メイド長に会うことの方が少ないへっぽこだったからあれなんだけど。
ということは、つまり、えーと…父さんが時を止めたってことで…えーと?
…うん!わかんないな!!とりあえず早く父さんとこ行こう!!俺は全ての考えを振りきって走りだした。いつの間にか周りの人はまた動きだしていて、時が止まっていたのは体感時間で…知るか!はかれねーよ知るか!!とりあえず数秒止まってた!!以上!!
走る間にもまた止まる。…父さんが戦っているのだ、ジョースター家と。スタンドを多用するのは何の不思議もない。だが、それは今までだってそうだったはずだ。父さんは家でスタンドを使う訓練だってしていた筈だし、たぶんジョースター一行と接触して幾度かスタンドを使っている筈だろう。それでも、なぜ今度の「ザ・ワールド」は知覚できたのか。今までは何も気が付かなかった。どうして分かるようになったのか?
…ええい、難しい事は考えたって仕方がない!俺は別に頭がいい訳じゃないんだ!大切なのはただ一つ!そう、時を止められたところで俺は止まらないってことだけさ!!行ける所まで逝ってやんよヒャッハーーーー!!
走って大通りまで出る。色んな人の悲鳴が聞こえてきた。それから激しく戦う音も…ってまた遠ざかって行ってるじゃないですかー!やだー!!追いつけないよ!!
騒ぎの中心から少し離れたところ、歩道の真ん中に誰かが倒れているのがふと目に入った。知らないおじいさんだ。胸のあたりにナイフが刺さっているのであわてて起こしてみると…あれ。背中の布には「死ぬ」なんていう物騒な単語はなかった。という事は、この時点でも十分生き残るってことだろう。な、なんて強運な人なんだ…!感動に打ち震えていると、その人からかいだことのある匂いがしてくる。
…これ、ジョセフ兄ちゃんの匂いだ。鼻を近づけてにおいをかごうとして、我に返ってやめた。俺は今青年スタイルだぞ…その状態で!おじいちゃんに顔を近づけてにおいをかぐとか!!どんな状態だよ!周りに人いっぱいいるよ!!なんか逃げ出し始めてるけど!!…俺が気持ち悪いから逃げ出してるんじゃないよね?顔が良い自覚はあるよ?父さん譲りだし。
ジョセフ兄ちゃんを叩き起こして感動の再会と行きたいところだが…俺にはそんな時間はないなぁ。うーんごめん兄ちゃん!死なないなら放置ね!大丈夫、何かマイナスな未来は見えないし!!
兄ちゃんをそこに置き去りにすると、俺は再び走りだした。うう…時止められるとなんか気持ち悪い感覚…。
破壊音はぐんと近づく。その中心部にようやくたどり着いた!と思うと、そこには一人学ランを着た人がぶっ倒れていた。
…でかい。だいたいジョセフ兄ちゃんか父さんんと同じくらいのでかさだろうか。あと学ラン着てるわりには年食ってるような気がする。まぁそれ以上に気になるのが、体中にナイフが突き刺さっているところですね!こわっ!!でも出血はそれほどひどくないように見える。この人もまた強運の持ち主なのか…!近寄ろうとしたところ、目の前にスタンっと人がおりたった。あ、父さんだ。
や…やだーーーー!お父さんってば、背中に死亡フラグがたってますよ!!!