思うに。俺の父さんは変態である。

なんかもう父さんと呼ぶのも嫌な感じの変態だ。あんまりお近づきになりたくない。DIO様は変態である、うん。これだ。これで行こう。

俺が思うに。DIO様は変態である。

いやだってさ、冷静に考えたんだけどあの服装っておかしくない?
もうほとんど乳首見えてますけど何か?みたいな訳の分からんノースリーブのタートルネックみたいなのとかさ…股間のチャックはあえて開けるみたいなズボンとかさ…もう訳分からんよね。そういう意味ではその変態さはきっちりヴァニラが踏襲しているとおもう。なんでブルマだよ一旦落ち着けよ。落ち着いて自分の格好をよく見てみろよ。引くから。もうほんと相当だから。
だいたいなんでこの屋敷の人たちはあの服装について何にも言わないんだろう。なんだよノースリーブのタートルネックって。暑いんだか寒いんだかはっきりしろよ。ていうか暑いよ!暑いなうだよ!!
話がそれた。これだから感情的になると訳分からんね、俺。いつものことか。

突然何でこんなことを言いだしたのかっていうと、まぁ…あの、俺は昨日、見てしまったのだ。

その日は何の因果か、俺は夜中に目が覚めてしまった。そりゃもう、運命的にぱっちりと。
俺は夜泣きと呼ばれるものはしないし(ていうか俺をいくつだと思ってるの?…そうだね、三つだね!!)トイレだって寝る前に行ったのだけれど、それでもまぁ目が覚めた。そしてなんとなしに部屋の外の事が気になった。
この時間に起きていることなどまずない。というか、今生が始まってから初めての事だ。
廊下に出てみる。相変わらずの薄暗さと言うか、真っ暗だった。ところどころにろうそくの炎が揺らめいている。…幽霊でも出てきそうだ、なんて妄想を頭を振ってごまかす。お、おばけなんて嘘だよ!おばけなんてないよ!!ねぼけた!!おひとが!!!みまちがえちゃったのだよ!!
鼻歌を歌いながら(こ、こわくなんかないんだからなっ!ほんとなんだから!)適当に歩いて行く。父さんが吸血鬼で今が活動時間だからだろう。人の動く気配がそこかしこでしていた。起きてみればこうも気になる気配も寝ているときは全く気にならないと言うのだから、全く俺は番犬失格だろう。いや、番犬になるつもりはないけど。

ふ、と。父さんの声がした。やっぱりまだ起きてるんだ。

声のする方へ足を進める。血の匂いが一層きつくなった。…食事中だろうか?やっぱこなきゃよかったかも。

少し離れている場所にいるにもかかわらず、俺の耳は的確に音を拾う。

「…ま……だ……み………」

ぼそぼそ、誰に話す声音でもないから独り言だろう。なんだかよく分からない事を言っている。大丈夫だろうか。

「パパ…?」

ぎぃ、と古めかしい扉を開けると、そこには

半裸で自分の体を抱きしめ、なぜか階段に片足をかけなんらかのポーズを決めているDIO様がそこにいた。

…えっと…あの、あれかな…光魔法かっこいいのポーズとか…そういう…あれ…かな?
俺はもう、扉を半開きにした状態で固まった。何故半裸。そして何故自分の体を掻き抱く。…ちょっと俺には理解できないゾーンに突入してしまったようです。俺は何も言わずにそっと扉を閉めようと―――して、大きな手に阻まれた。

「メリル」

お、おおう…DIO様…いつの間にこちらまで…!

「だめじゃあないか。こんな時間まで起きて…」

言いながら俺の髪の毛をなでる。体温の無い手だ。俺と同じ。いや、俺が父さんと同じなのか。

「早く寝ることだ」

俺の額にキスをひとつ。ううん…欧米人ならではの習慣だ。

「うん、おやすみパパ」

「ああ、お休み」

父さんはそう言って笑った。…なんか、いやな笑みだ。そして半裸だ。なぜ半裸何だ。いいから何か着ろ。

ここまで見て頂けると、いやぁなんだかいいお父さんみたいじゃん?って思う人もいるだろうね。うん、いいお父さんかもね。
でも落ち着いて欲しい。そう、落ち着いて…先ほどのDIO様の言動を見直して欲しい。

夜中に起きたら父が半裸でポーズ決めてた。

………思春期なら確実なトラウマだ。もう父親とは疎遠になるどころか心の中では絶縁だ。外であっても「あ…どうも」ってなること請け合いだ。俺が大人だったことに感謝するんだな!!!!

あれ?そういえば…。

あのときは気にならなかったんだけど、俺が扉を閉めようとしたときDIO様はそこそこ遠くにいた筈なのに…本当にいつの間に、音もなく近寄ったのだろう。結構びっくりしたよ。うん。
…あれが父さんのスタンド能力、とか?そういえば前世の友達はDIO様のスタンドは何だって言ってたっけ…わすれた。まぁいいか。


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