『明くん、次はこれね』
「す、数学か…うん頑張るよ…!」
『はいじゃあこれからね、aはbに代入して』
「うん…おお、なるほど!」
夏休み最終日。太陽サンサンでとても暑い日。明くんこと隣の家の明久くんが家に勉強道具を持ってきた。
あの明くんが何事!?なんて思っていたら、なんと明日、休み明けテストがあるらしく、それで良い点数を取らないと姉さんがやばいとかなんとか。
それで私に勉強を教えにもらいに来たそうなのですが…
『あの…なるほどじゃないから、答え間違ってるから』
「えぇ!?どこ!?」
『…た、足し算のところ…』
「わ、ほんとだ!危なかったぁ」
いや、危なかったぁ、じゃないからね?
普通の人がこういうミスするのはケアレスミスっていうんだけど、明くんがやるとなんか本気で心配になる…
『はい、これ応用問題だからやってみて?』
「おぉ!用意いいね!うんやってみるよ!」
『う、うん…』
***
「よし、できた!」
『…あ、すごい当たってる…』
「まじ!?」
やっぱり明くんはやればできる子だったんだね…
『私は嬉しいよ…明日のテスト頑張ってね』
「うん!すごく助かったよありがとう!」
『うん、テストの結果でたら教えてね、ばいばい』
「あ…テストの結果は教えるんだけどさ…」
『?』
「今、姉さんが家で料理を作ってるんだ…」
『あ…そうなんだ…』
「……もう少しここにいさせて下さい」
『…そうだね、いた方がいいね…ごゆっくり』
テンションは"姉さんの料理"という言葉によりだだ下がりだったけど、それから何年も前に買ったゲームを掘り出し、それを明くんと一緒に楽しんだ。
***
ピンポーン
『あ、はーい』
家のインターホンが部屋に響いた。
あれから一週間、明くんが結果を持ってきたのだろう。
『いらっしゃい!』
あれだけ教えたんだからきっと良い点数は取れてると期待していた。
「………ごめんっ!」
『えっ?』
「…これ」
『………』
本当に目を疑った。それは綺麗な赤丸…点数の所に。
「テスト勉強の思い出そうとしたんだけど、あの時のゲームが邪魔をして…」
『もう、いいよ…うん』
あれ、なんか涙出てきた
(あなたに流すは"呆れ涙")
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