ノボリを縛ってみた。
いつもいつも私に縛り付けられたいとうるさいから、お望み通り身動きひとつできない程に。

折角ノボリの希望通り縛り付けてやったっていうのに、当の本人は人形みたいに無反応だ。
つまらない。
まあノボリが言っていた縛られたいっていうのはこういう物理的にって意味じゃないんだろうけど。
精神的に縛るのはこっちまで疲れてしまうからごめんこうむる。

それにしたって、ノボリもせめて希望を叶えてあげようとした健気な恋人の頑張りを認めて少しは嬉しそうにすればいいのに。
さっきからまったくの無反応で面白くないったら。

「………ノボリ」
「っひぁ!?」

ちょっとした悪戯心でノボリの首を軽くくすぐってやったら、驚いたように声を上げて同時に口角が隠しようもないほど跳ね上がった。
おお、ノボリってくすぐり弱かったのか。

恥じらいやら非難やらが含まれた視線を受け流して、再びこしょこしょと首筋をくすぐる。
縛り上げた体がびくびく震えて、やらしいんだか面白いんだか。

「は、あふ、ふふふっ、く、なまえ、や、やめ…っ」
「わあ、やっぱりそうやって笑ってるとクダリそっくり」
「っな、言うに、事欠いてっ……はぅ、ん、ぁはっ、ぐ」

クダリに似ていると言われたのがよっぽど癇に障ったのか、必死に唇を噛んで笑いを堪えようとしている。
どうせ無駄にヤキモチを焼くのがお上手なノボリのことだから、2人でいる時に他の男の名前を出すなんて!とかなんとか考えてるんだろう。
まったくノボリってば馬鹿っぽ…訂正、可愛らしいんだから。

「ほらほら、いつまで耐えられるかなー?」
「んぁ、あっふ、なまえっあなた、覚え、て、なさっぃ、ふぁ、はんっ」
「ノボリ、それじゃ喘いでるのか喋ってるのかわからないよ」

必死で耐えようとしている所為か一気にやらしい感じになっている。
くすぐる首筋も徐々に汗ばんでくるし、赤らんだ頬も相まってそういう行為の最中かってくらい性的な姿になっちゃって。

これが単純に縛り上げてくすぐり倒しているだけなんていっそ詐欺みたいな気分だ。

それにしてもノボリを苛めるのってどうしてこうも楽しいんだろう。
何かしかける度にそれはもう素晴らしい反応を返してくれるもんだから苛め甲斐もあるってものだ。

「さて、それじゃあきっちりしばられてるその脇とかお腹とかもいってみようか?」
「ひ、ばか、なまえ、これ以上っ、ぁああっは、っく、ううっ」
「ふっふっふ、降参するなら早めにね!」
「っこ、ぅさ、します、から……っも、やめぇ」
「あっはっはー、そーんな喘ぎ声だか降参宣言だかわからない言葉じゃこの手は止められませんなー!」
「なっなまえっふ、ぁ、あはっ、ははは、く、ふぅんっ」



それからじっくり15分はくすぐり倒してやったので、終わったころには息も絶え絶えになったノボリが屍の様にぐったりしていた。

うん、ごめんなさい、流石にやりすぎました。





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