好きで好きで大好きなら、目を離すと不健康な生活をしがちな彼の生活管理を行ってあげたいと思うのは当然のことでしょう?
だから私はただ彼らの為を思って管理者になってあげただけなのだ。
美味しい食事も、アイロンがけされたシャツも、清潔が保たれた部屋も、全部ノボリたちを支えたいという好意から出た行動。
なのにどうしてノボリは今、こんなにも尽くしている私を押し倒しているのか。
おかしいな、お願いする時は押し倒せなんて教えた覚えはないのに。
「どうしたの、ノボリ」
「なまえ、もう1週間でございます」
「ああ、もうそんなに経ってたっけ。それが、何?」
切羽詰まったような声にさらっとしらばっくれてやる。
私だってノボリたちの健康を預かる者としてちゃんとスケジュール帳に書き込んでチェックしているんだから、それぐらいは把握している。
クダリはこの前可愛くおねだりなんてしてくるからついお願いを聞いてしまったけど、ノボリは我慢強くて中々自分からは言い出してくれなかった。
ちゃんと自分から言いに来てくれたら、ちゃんと褒めて甘やかしてあげようと思っていたのに。
焦れるノボリが可愛くて、つい意地悪をしたくなる。
「あれを、外してくださいまし」
赤い顔で視線を逸らしながら告げる姿は本当に可愛い。
けど、私はもっと誰にも見せないようなノボリが見たいの。
「あれって何のこと?はっきり言ってくれないとわからないよ」
「………っなまえ」
押さえつけられていた手がくいと引っ張られて、ノボリの股間へと持っていかれる。
その手を上からしっかりと押さえつけられて、まざまざと形を確認した。
本来あるはずのない、硬質で滑らかな感触。
「これ、を。貞操帯、外して、くださいまし」
息を乱して自分の股間を触らせるなんて、普段のノボリからは考えられない大胆な行動に思わず口角が上がってしまう。
「そうだね、ノボリ良い子にしてたみたいだし。いいよ、外してあげる」
にっこりと微笑んで許可を下せば、ノボリが心底嬉しそうにため息をつく。
それでは、と一言置いて取り出されたのは、彼専用の拘束具。
ご丁寧に逃走防止の首輪まで用意しているなんて、本当に準備が良い。
本当ならこんな首輪いらないくらいノボリは従順なくせに、主導権を握られている感じが好きだとかで毎回自主的に付けている。
まあ可愛いからいいんだけど。
渡された拘束具をそれぞれノボリの首に、腕に、ぱちんぱちんと止めてあげて、後ろ手にしっかりと拘束し優しく背中を押した。
「それじゃあ、ノボリの部屋に行こう?」
「は、い………」
恍惚に溶けた顔で囁くように答えて、期待にふらつく足で自分の部屋へと移動する。
ノボリがここにいるってことはクダリは確実に今日帰れないんだろうけど、万が一ってこともあるし用心のために部屋の鍵もしっかりかけておこう。
途中で部外者に入られても興ざめだし。
まあ、その時一番つらい思いをするのはノボリなんだけど。
精神的にも、肉体的にも。
ノボリの首輪から伸びた鎖をベッドサイドに繋げれば、これでもう彼は逃げられない。
逃げる気なんてさらさらないくせに、かしゃんと鎖が繋がる音にどこか残念そうな顔をする。
「ノボリ、逃げたい?逃げたいなら、今すぐこの鎖も拘束も外してあげるよ?」
「……っそ、な、なまえ、いや、嫌ですっ」
じゃらじゃら鎖を慣らしながら、必死になって私にすり寄ってくる。
なまえ、なまえって、縋るように何度も名前を呼んで可愛いったらない。
「うそ、冗談だよノボリ。ほら、ちゃんと抜いてあげるから」
ノボリの貞操帯用の鍵を目の前に出しやると、ぐずっていたのが嘘みたいにすとんと落ち着いた。
「うん、いい子。それじゃあ、足、開いて?」
貴方の射精だって、きちんと管理してあげるから。