疑問いっぱい
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あのよく分からないのと同棲し始めて一日目、俺は早速疑問を口にした
「なあ、ちょっといいか?」
「いいよ、なにかな」
「お前って何時までその格好?」
指指して言えばきょとんとして首を傾げた
「その格好って?」
「何時までおばあちゃんなんだよ」
「ああ、そういうこと?」
「おばあちゃんにあんまりタメ口ききたくないしさ、他のないのか?」
「あるよー
他のっていうかこの姿が他のだから」
「え、マジで?じゃあ何でそれなの」
「僕の美しさで気絶しちゃうんじゃないかと思ってね」
おばあちゃんがドヤ顔をしてくる、いらっとする
「ないわ」
「ひどくない?ねえそれひどくない?」
「ひどくない
ていうか、良いからちゃんとした姿になってくれよ」
「しょうがないなあ、じゃあ早速…」
次の瞬間、眩しい光が視界いっぱいに広がっていく
光が収束し、瞑っていた目を開けば目の前には金髪の女の、
「男だよ」
……男がいた
「いや、おま、本当に男か?すごい女顔だぞ」
「僕だからね」
ああ、こいつにはやはりついて行けない
「お前やっぱり意味分からないわ」
「よく言われる」
「誇るところじゃないだろ…」
安定のドヤ顔のこいつに大体お前は、と言ったところでまた一つ疑問が浮かんだ
「なあ、もう一ついいか」
「はいはい、どうしたの?」
「…お前のこと、なんて呼べばいい」
そう、名前だ
相手は俺の名前を知っているようだが、俺は相手の名前を知らないという
とりあえずは「お前」とかで名前を呼ばずにきてみたが限界だ
名前を知らないと大変だな、ほんと
久々にあった昔の友人は俺の名前を知ってるのに俺は知らなくてギクシャク、みたいな感じ
ていうかこいつに名前ってあるんだろうか、不思議だ
「名前教えてくれよ、この生活辛い」
「確かにボクもお前って呼ばれて辛いね
うん、教えてあげよう
ボクの名前はアフロディーテ、人間名は亜風炉照美、よろしく」
「ほほー、神様なんだ、意外」
「ボクも君のその反応意外」
「なんかもうちょっとやそっとじゃ驚かなくなってきたわ
まあお前のことは精霊とか妖精らへんだと思ってたから余計に薄いのかも」
「驚いて欲しかったなー」
「驚かん」
今度は俺がドヤ顔をしてやった、勝った
「んじゃまあ俺は照美って呼ばせてもらうな
俺のことは適当で」
「わかった、じゃあ雅って呼ぶよ
よろしくね、雅」
「おう」
俺達はそう言って握手をした
出会ってから数日、やっと互いの名前を知ることになった
俺はまだ照美のことは全然知らないから、一緒に過ごしてもっと知らなくては
俺の疑問は絶えないだろう、だから
「これからよろしくな、照美」
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