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▼ 愚痴




今、親友であるマコトは、私の胸の中でグズっていた。
「今日、名前の家泊まりに行くから!」と、仕事の休憩中に言われた時は何事かと思ったが、どうやら、ハザマ大尉にいびられたストレスが爆発した様だ。

「あーー……ハザマ大尉嫌だよーー」
「うんうん。よしよし。ハザマ大尉は嫌だねぇ」
「名前にはそこそこ甘いのにーー」
「何故でしょうね……ほんと」

ぽんぽんっと、力強く抱きついてくれる背中を撫でていると、マコトはハッと何かに気付いたのか、上目遣いで私を見つめた。

「まさかまさか、大尉ってば名前の事好きとか!?」
「そんな馬鹿な……」
「だって、名前は可愛いし、良い子だし!」

堂々と言い張り、なんだか此方が照れてしまう。可愛いと言われるのは嬉しいが、私的に言えばマコトより可愛い人は居ないと思う。あ、ツバキとノエルも同じくだ。三人より可愛い人はこの世に存在しないだろう。

「あの嫌味大尉、あたしの名前取ったら本気で殴りに行ってやる!」
「まぁまぁ、落ち着いて。ぎゅーっだよ、ぎゅーっ」

さっきよりも強く抱きしめると、マコトは力が抜けたのか、心地よさそうな声を出してすり寄ってきた。
可愛いなぁ、柔らかいなぁ、癒されるなぁと、なにやらおじさん臭い事も思ってしまいほんの少しの罪悪感を感じた。

「はぁ……癒される……ハザマ大尉なんかに渡したくないなぁ……」
「ご心配なく」
「ハザマ大尉というか、あたし以外に渡したくない」
「じゃあ、私はマコトの彼女?」
「ん……んっ!?ま、まぁそうなるかな!たぶん!」

慌てながらも、顔を真っ赤にしながら否定しないという事は、期待しても良いのだろうか。
本気だよ。と告げてしまっても良いが、この親友という関係も嫌いじゃないので、もう少しこの関係を楽しんでから言う事にしよう。






END



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