弱虫な魔物
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サワ「そういえばさ
マイって明日暇してるの?」

『明日?…うん、暇だよ。
どうかしたの?』


オレが夕方、外を歩いていると
前方をマイとサワが歩いていた。

見たところ、バイト帰りだろう。


向こうはオレに気づいてない。

殺すなら今がチャンスか…。


…いや、今日はまだ八月三日だ。

それに今はサワも一緒だ。

焦る事はない。


サワ「ああ、なんかね
ミネが女子会しよって言っててさ。
マイも誘ってって。」

『そうなんだ!
女子会いいね、楽しみ。』


場所はどこだろう
なんて言って、笑うマイ。


…オレが今ここでマイを殺せば
いくら楽しみにしても
お前に明日なんかないのに。


そんなことを考えるオレは
やっぱり狂っているんだろう。

でも仕方がない。

ウキョウの狂気から生まれたのが
オレなんだから。


『私、今すごく幸せだなー。』


マイからしたら
きっと、何気なく出た言葉なのだろう。

しかし、なぜかその一言で
オレの殺意は消えた。

少なくても今は。


弱虫な魔物


ウキョウ「俺はいいからマイには
幸せになってほしい…。」


以前、もう一人のオレが言っていた事。


ウキョウ「…帰るか。」


オレはそう呟いて
マイに背を向けて歩いた。





(お題提供元「operetta」)


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