First kiss


今、ボクは火神君の家にいる。
夏休み、少しの時間だけでも二人きりになりたくて、火神君は照れ臭そうにボクを誘ってくれた。
正直、凄く嬉しい。
火神君はボクの恋人。
そして、光りでもあった。
そんなボク等だけど、付き合ってからかなり間もない。
確か、三日前に火神君に告白されたのだ。
ボクはとても嬉しくて何度も頷いていた。
ボクは出会った時から火神君が好きだったから、凄く嬉しくて………。
そして今、火神君の家にいるのだ。

「麦茶しかねぇけど、取り合えず飲んどけ」
「あ、はい。ありがとうございます」

ボクはコップを受け取りながら、礼を言った。

「…………」
「…………」

その後会話が続かず、ボク等は照れているみたいだ。
沈黙が更に恥ずかしさを増す。
どうしよう……ボクは火神君の家に来る前に、コンビニに行ったのを思い出した。
そうだ、アレをやろう。
キセキの皆ともしたアレを。
コンビニの袋から菓子を取り出すと、ボクはトンとそれをテーブルの上に置いた。

「ん??ポッキー…か??」

明らかに戸惑いながら、火神君はそれを見る。
これはポッキーの箱の何物でもなかった。

「はい、ポッキーです。火神君はポッキーゲームって知ってますか??」
「まぁ、一応はな…」

視線を反らし、頭をかきながら火神君がそう言う。

「ポッキーゲーム、しませんか??」

ボクは少し緊張していたけど、平静を装う。
ポッキーの箱を開けると、中のポッキーの小さな袋を破り、一本だけ取り出す。
その様を火神君はジッと見ていた。

「マジでやんのか?」
「マジです」

ボクはポッキーの端をくわえて、火神君につきだす。
明らかに動揺しながら、何故か誰もいないのを確認している火神君は、面白い。
ここにはボクと君しかいませんよ。
意を決したのか、火神もポッキーをくわえた。
視線を反らしながら、ボクは火神君の手に触れる。
それが、始まりの合図。
少しずつ、ゆっくり、ボク等は唇を寄せ合うように食べていく。
ボクは最初から唇を離す気はなかった。
もしかしたら、キスが出来るかもしれない。
だから、唇は離さない。
どんどん縮まる距離に、胸が高鳴った。
後、少し………そして………

ちゅっ

ボクと火神君は、触れるだけのキスを交わした。
少しの沈黙の後、火神君は慌てた様子で捲し上げる。

「こ、こういうのは、アレだ!!何かの気の迷いだ!!」

照れ隠しなのか、そう言うことで自分を正当化しているみたいだ。
ボクは少し笑みながら、逃がさないとばかりに言う。

「キス……しちゃいましたね」
「あれは、ほら、事故だ」
「今のキスをなかった事にしたいんですか?」
「そうじゃねぇよ!!あの、なんつぅか……」

少し間を置いて、火神君はボクに触れるだけのキスをした。
ボクは驚きに目を見開く。

「お前とのファーストキスが、ポッキーゲームっつうのが気に入らねぇだけだ」
「そう、ですか」

確かに火神君の言う通りかも知れない。
火神君とのファーストキスは、ポッキーに頼らなくてもあんなに自然に出来たのに。

「スミマセン、火神君。ボクがもう少し迫っていれば……」
「迫りてぇのはこっちだっつうの」

言うと、火神君はボクを押し倒してきた。
まだ、早いんじゃないかと思う反面、期待してしまう。

「火神君、あの」
「黙ってキスだけされてろっ」

ボクは火神君の落とす、キスの雨に淡く笑んだ。


ポッキーなんて
ボク等には最初から
必要なかったんだ。


fin


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後書き
ポッキーゲームやった事がないですが、アレって意識しちゃいますよね。
だって顔が迫ってくるんですよ。
意識しない方が珍しいのかな。
そんな感じで書きました。
今回は主導権を握った黒子とヘタレてない火神君でした。
ちなみに付き合いだして三日後の話しですwww



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