05.17 「おはよう、風音ちゃん」 「あらま。おっはよ、なぎ。めっずらしいわねぇ、あんたが自分からこんな時間に起きてくるなんてさ」 「うん、ちょっとね」 「なーにぃ?何かあるの?」 「ううん、そういうのじゃなくて……夢を、見たの」 「夢?」 「うん……あの人が、帰ってくる夢」 「ふーん?」 「だからね、迎えに行こうかしらって。――あの日の、アサギの海岸まで」 「そ。気をつけていってきなさいよぅ」 「うん、ありがとう風音ちゃん。いってきます!」 「はいはーい」 いちばんに、あなたに「おかえりなさい」を言いたいから。 玄関の扉を開けて差し込む眩しい朝日に、そっと目を細めた。 back |