「ねえ、二人って付き合ってんの?」

開口一番名前が言ったのはそんな言葉だった。

「どうしたんだい急に」

不破は大きな丸い目を更に丸くして訪ね返す。

「だって二人って仲良いし、ちょっと間に割って入れない空気あるよ」
「だから付き合ってるっていうのは短絡的すぎやしないかい」

鉢屋は目を細め楽しそうに名前の話を聞いている。

「そうかな、でもみんな噂してるよ」
「みんなって誰だい?」
「くのたまの子達とか」

不破は首をかしげる。何故、鉢屋と付き合っているという噂が流れるのか。確かに顔を貸しているし同室だし、他の人よりも過ごす時間は長いかもしれないが、他の同級生たちと同じように接しているはずだ。

「でもそれは誤解というか、僕らはそんな生々しい関係じゃないよ。なあ、三郎」

不破が鉢屋に視線を送ると、鉢屋は満更でも無さそうな顔をして気のない返事をした。

「そうだなあ、しかし名前はぶしつけだな」
「鉢屋が不破の事を好きなの?」

「否定はしないが肯定もしない」
「三郎!お前はすぐにそうやってからかうもんだからこうやって根も葉もない噂が広がるんだろう!」

不破が鉢屋を強くたしなめると、肩をすくめて少し笑った。

「私は一部の性的嗜好を持っている婦女子達に優しいだけさ」
「どういうことだい」
「ああ、そうやって楽しんでるのね」

不破は更にわからないといった表情になり、名前は全てを納得した。これは鉢屋の悪戯なのだ。一部の性的嗜好を持つ腐女子をからかっているのだ。

「まあ、ほどほどにしておきなよ」
「ああ、大丈夫さ」
「名前は何がわかったの?僕にも教えてくれよ」
「うーん、なんていうのかな、不破はまったく健全でよかったよ」
「ますますわからないんだけど」

名前は不破と鉢屋を見ながらため息をついた。まったく鉢屋のいたずらにも困ったものだ。それに勝手に付き合わされている不破が可哀想だ。

「聞きたいことは聞けたし、じゃ!」

名前が話に区切りをつけて片手をあげると、不破はまたね、と手を振り、鉢屋はにやりと口角をあげた。

「ああ、一部の性的嗜好を持っている婦女子によろしくな」
「本当に鉢屋は一回怒られればいいんだ」

名前は二人から離れて友達の腐女子の待つ場所に向かった。
このことを報告するために名前はわざわざ聞きにいったのだ。テストの点数で負けたバツゲームとして。それごとわかっている鉢屋の抜け目のなさに名前は腐女子の友達の反応を想像してみた。なんでも美味しくいただける友達のことだ。きっと影から見て興奮してるに違いない。
名前は主に不破に内心謝りながら、友達が待っている場所に向かった。



鉢不破の日おめでとう!



end
腐女子に偏見ないよ!私の友達は腐女子率高いよ!



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