私のお友達は蛇のジュンコちゃんだけです。ジュンコちゃんはほんとう伊賀崎君のお友達なのだけど、たまに脱走しては私のところに遊びに来てくれます。私はこっそりジュンコちゃんに餌をあげています。たまに伊賀崎君を探しにお散歩もします。一番の思い出は一緒にお昼寝をしたことです。
今日もジュンコちゃんが長屋の私の部屋にまで遊びに来てくれました。一週間ぶりです。
「ジュンコちゃん、これ食べる?」
私の差し出した餌をパクリ。大きな口を開けて飲み込みます。綺麗な赤い体をくねらせて私に近付く姿はとても可愛いです。冷たくてしっとりとした質感の肌、無機質な黒い瞳、赤いチロチロとした舌、それら全て人間とは違いますが、それが心地好いのです。ジュンコちゃんと会話は出来ないですが、心を通わせることができます。
「ジュンコ何処だ、ジュンコおおおっ」
遠くから竹谷先輩の声が聞こえます。
「今日はみつかるのが早いのね」
私の言葉に、しゅるしゅるとその体を這わせ、足から腰、腰から腕、腕から首に移動して首に巻き付きます。くすぐったくてぞわりと肌が粟立ちますが、なんだがそれも楽しいものです。
「さて、ジュンコちゃん帰ろうか」
私は立ち上がり外に出ます。生物委員会の人が近くにいたらジュンコちゃんをそっとおろしてみつからないように立ち去ります。間違っても私とジュンコちゃんがお友だちなのは内緒なのです。
「ジュンコぉぉ」
案外近くで伊賀崎君の声が聞こえます。私はジュンコちゃんを首からはずします。
「またね」
私が言うといつもは振り返らずに伊賀崎君の元に行くのに、今日は何故か離れようとはしてくれません。ああ、伊賀崎君がこっちに来てしまいました。
「ジュンコ!」
走ってジュンコちゃんの元、私の側まで来ます。
「えーと」
「君、名前は?」
「え?」
「ジュンコが僕以外の人間の首に巻き付くなんて初めてだ」
「そうなの?」
「ああ。名前は?君はジュンコが好きなの?」
「私の名前は名前です。ジュンコちゃんとはお友達で、ジュンコちゃん大好きです」
「ジュンコの友達?」
伊賀崎君は眉を一瞬潜めましたが直ぐに破綻しました。
「僕は伊賀崎孫兵。ジュンコのパートナーだよ。ジュンコの友達は僕の友達だ。これからよろしく。名前」
綺麗に笑った伊賀崎君があんまり格好よくて直視できません。
「うん。知ってたよ」
こんなに素敵なジュンコちゃんの飼い主さんはきっととても素敵なんだろうと思っていたから。本当は、伊賀崎君と仲良くなりたかった。
ハロー、ディア・フレンド
(これからよろしくお願いします)
(こちらこそ)
end
孫兵→ジュンコ←ヒロイン
ヒロイン→孫兵→ジュンコ
ヒロイン←ジュンコ←孫兵
とか考えてないなって思いました。
ジュンコちゃんを書きたかったのです(´`)
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