#ac1_total#
れいあか | ナノ
「え?今なんて?」

「だ、だから!うちのこと“あかねさん”じゃなくて“あかね”って呼んでほ…ほしいって…ぁぅ…」

私の聞き返しに赤面し、声をどんどん小さくしてそう言うあかねさん。

「え、えっと…、いきなりどうしたんですか?」

何か私あかねさんにしたかしら…。と疑問に思いつつなぜあかねさんがそんなことを言い出したのか理由を尋ねると、あかねさんはまだ赤面して口を尖らせる。

「だって…、なおには呼び捨てで…うちには“さん”付けってなんか…お、おかしいと思わへん?」

顔はそっぽを向きつつ目だけこちらをチラチラ見てくるあかねさん。

「えっと、みゆきさんややよいさんにも“さん”付けでお呼びしていますけど…」

「そ、そうやけど!じゃ、じゃあなおは!?なんでなおは呼び捨てなん?」

なぜかムキになって声を上げるあかねさん。関西の人は呼び捨てで呼び合わなければ駄目なのでしょうか…?いや、でもみゆきさんややよいさんは“あかねちゃん”と呼んでいますし…。

「なおは、昔からの幼なじみですから…」

「なおはとトクベツってことかいな?」

なぜかわからないけれど、さっきよりも口をとがらせて怪訝そうな顔をするあかねさん。
確かに私にとってなおは特別な存在ですけど、それであかねさんの機嫌が悪くなる理由がよくわからないまま私はなんとかあかねさんの機嫌が直るような言葉がないか模索する。

「……ごめんな。別にれいかを追いつめてるとか嫌いとかじゃなくて、れいかともっと…な、仲良くなりたかっただけでっ…」

私が困ったような顔をしていたせいなのか、あかねさんはなんだか悲しそうな顔をして謝ってきたことで、ようやく私はあかねさんの気持ちを理解できた。

あかねさんは、ただ私ともっと仲良くなりたいが為の一歩として「呼び捨てで呼んで」とおっしゃってくれたのに私としたら、なおなおなおっていつもの悪い癖がでて、あかねさんの機嫌を損ねてしまったのね。

じゃあ、私があかねさんに謝る言葉はもう決まっているわね。

「私、自分で言うのもなんだけど、鈍感で早く気づいてあげられなくてごめんなさい。“あかね”」

「っ!?」

向かい合っているあかねの手をぎゅっと握って謝ると、あかねは顔を一気に赤くして言葉を失ってしまったのか、とにかく私から目をそらそうと目をきょろきょろさせる。

そんな可愛いあかねを見て私はついつい笑ってしまった。



「…ご、ごめんな…。れいか…。やっぱり呼び捨てはなしでよろしゅう……」

「え!?なんでですか!?」

(心臓が持たないからに決まってるやろ!)


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