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みゆやよ | ナノ
教室の窓から眩しい夕日が見えてきて、今は何時かなって時計を見るともう5時を過ぎていた。

まったく、みゆきちゃんはいつまで待たせるのかなぁ…。
ため息を吐きながら、わたしはとくにすることもないのでスケッチブックに絵を描く。

今日は、週に何回かあるわたしとみゆきちゃんが二人きりで帰る日。あかねちゃんとなおちゃんとれいかちゃんたちが部活で一緒に帰れないときだけ二人きりで帰るっていう言わば、わたしにとっては大切な日だったりするんだけど、みゆきちゃんは全教科テストが赤点だったために放課後補習。仕方なくわたしはみゆきちゃんの帰りを待ってるけど遅すぎる。

こんなとき、王子様みたいな人がわたしの恋人だったらわたしはこんなに待つことはないのになあ。

王子様、って思うとなおちゃんの顔が浮かんだ。なんて言ったってなおちゃんはサッカー部のエースでかっこよくて、家事もできるし、子どもの面倒もしっかりみれるし、ハッキリと物事を言えるし、でも一見お化けが怖かったり、虫が苦手だったり、可愛いものが大好きだったりするところが逆にかわいくて、かっこいいなあ。

でも、れいかちゃんも王子様っぽいかなあ。勉強できるし、わからないところは優しく教えてくれそうだし、弓道部姿はかっこいいし、あの長い髪を一つに束ねたりなんかしたら王子様そっくりだと思うなあ。

たまにいじわるだけど、あかねちゃんも王子様だよなあ。やっぱりあかねちゃんも部活中の姿はかっこいいし、なんだかんだ言ってもわたしが男の子達からからかわれて困っていると助けてくれるしなあ。

そんな王子様っぽい三人を思うと、わたしの恋人のみゆきちゃんはなんてダメなんだろうって思う。もう一時間半以上もわたしのことを待たせて、全然ダメな王子様だよ。みゆきちゃんはさ。

なんて、心の中でみゆきちゃんを罵倒しながらなんとなく絵を描いていると、教室の戸がガラッと勢いよく鳴り響いて、わたしは音がした戸の方に目を向けると、はぁはぁと息を切らしたみゆきちゃんがいた。

「ご、ごめ……んね、待たせ……ちゃって…」

補習が終わってから走ってココまで来たのか、呼吸が整わないまま謝るみゆきちゃん。

「そ、そんな走ってこなくてもよかったのに…」

「ごめんね、だって一秒でも早くやよいちゃんと会いたくて、」

もうみゆきちゃんは、ほんとうにダメなわたしの王子様。

でも、こんなに全力疾走して来てくれたところとか、わたしのことを一番に思ってくれてるところは好き、かな。

なんだかわからないけど、みゆきちゃんにキスしたくなった衝動にかられて、みゆきちゃんにキスをすると、みゆきちゃんは顔を真っ赤にして、どうしたの?って言ってきたから

「わたしを待たせたおしおき」

って言うと、もっと顔を赤くした。

けど、せっかくのわたしの王子様なんだから、顔を赤くして呆けてないでキス仕返してくれればいいのにな。なんて自分の王子様を不甲斐なく思った。



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