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マナあり@ | ナノ
そう、わたしはきっとマナちゃんに嫉妬しているのでしょう。
マナちゃんが、誰に対しても優しくて、マナちゃんが人助けしている姿を見ていると心が不愉快です。
とくに、マナちゃんは六花ちゃんがマナちゃんに対してまん丸い目をハートマークにしているのにも気がつかない鈍感さんです。マナちゃんは、六花ちゃんと家も隣同士で、学校も同じで、生徒会でも同じ。
マナちゃんは、六花は友達だよ!なんて言いますけど、これだけの条件が揃っていては嫉妬してしまうのも仕方ないことだと思いますの。

でも、マナちゃんにわたしの独占欲の強さを押しつけるだけの勇気もなく、マナちゃんの家、学校、その他周辺の監視カメラで毎日毎日マナちゃんを見つめてしまいます。
もちろん、こんなことが良いことではないのはとうに知っています。マナちゃんを信用していないと言えば、そうです。だって、あの子は、人が傷ついている顔を見るのがダメな子ですから。きっと、誰かに泣きながら、好きだから付き合ってほしい、なんて言われたらきっと断りきれなくて付き合ってしまいます。そんなこと、わたしにだって解ります。だって、あの子は絵に描いたようなバカな子です から。

そうです。だから不安で不安でわたしは仕方ないのです。
数ヶ月前、自分の気持ちが押さえられなくなってマナちゃんにこの気持ちを伝えたらあっさりとマナちゃんの恋人になることができました。
わたしは、てっきりマナちゃんは六花ちゃんが好きでわたしは、フられるとばかり思っていましたから、これを機会にマナちゃんのことは諦めようと思っての告白でしたから。まさか恋人になれるとは思ってもいませんでした。

はじめの頃は、念願叶ったマナちゃんの恋人と、浮かれ気味だったのでしたが、マナちゃんの性格を思い出し、マナちゃんはわたしを傷つけないように本当は好きでもないわたしと恋人ごっこをやっているんでは?という疑問にかられました。

それからです。マナちゃんの家、学校、周辺に監視カメラを設置するようになったのは。
こんな苦しい思いをするならもういっそ、別れてしまおうかと何度思ったことでしょう。
一週間に一回。マナちゃんとの二人きりのお茶会の日と称してマナちゃんに会える日があります。その時に、マナちゃんに、別れましょう。と言おうと決めても言えないのです。だって、今の、このマナちゃんはわた しだけに微笑んでくれていると思うと愛おしくてたまらないからです。一度手に入れたモノを手放すなんてわたしにはできません。ましてはそれが、愛おしい人なら特に。

「あーりす!一週間ぶり!」

監視カメラ映像をパソコンで見ながら、そんなことを考えているといきなり、戸が開いた音と共にマナちゃんの声が聞こえてきました。
わたしは、驚いてすぐさまパソコンの電源を強制的に消して、声がしたほうに顔を向けました。

「マナちゃん?今日はお茶会の日では…それに、服装が……」

「えへへ、学校帰り。ありすに会いたくてついつい来ちゃった!」

ついつい一瞬わたしのなかのナニかがフリーズしてしまいました。だって、マナちゃんが、会いたいなんて。だからわたしはいつまでたってもマナちゃんに、別れましょうと言えないのかとやっと解りました。

「マナちゃん、わたしもマナちゃんにすごく会いたかったです。」

恋人同士になって数ヶ月も経っているのに、会っても会っても友達だった頃となんの変わりないことしかやっていないわたしたちでした。わたしが今までマナちゃんに嫉妬していたのも信頼していなかったのも 、恋人同士らしいことを何一つやっていなかったからなのでしょうか?

つい、わたしは、そのこ言葉を言い、マナちゃんを抱きしめてしまいました。

マナちゃんに会いたかった、なんて言われて気持ちが押さえきれなかったのでしょうか。はじめて、恋人らしいことをしてしまい、我に返ったときにはもう遅く、手が震えてしまいました。

もし、マナちゃんに、やめてと言われて放されたらどうしようかと。

「なに?ありすったら、甘えんぼさん」

ふは、っと笑ったようにマナちゃんは、言いわたしを抱きしめ返してくれ、わたしの頭を撫でました。

マナちゃんに、そんなことをされたのは初めてで、わたしもこんなことをしたのは初めてで、それに、マナちゃんが優しく応えてくれたのが嬉しくて。

こんなみっともない顔をマナちゃんには見せられませんね。と思いながらわたしの見せられない顔が直るまで、マナちゃんの肩に顔を埋めていようと思いました。

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