「今日は私の恋愛観を聞いてもらおうと思います。」
「質問はしなくていいのか。」
「今日は特別！赤司くんは、人を好きになるってどういうことだと思う？」
「人を好きになったことが無いから分からないけれど、その人の性格が分かると心が動かされる、とかかな。」
「ふふ、ここで私の持論です。好きになる相手って、実は最初から決まってるんだよ。」
「？つまり、運命ってことか。」
「そう言うとロマンチックに聞こえるね。好きになる相手は最初から決まっていて、ただ、それを知るには“情報収集"が必要なの。情報収集というのはつまり“相手を知ること”ね。全部とはいかないまでも、相手の事を沢山知って、あぁこういう人なんだなぁってわかった瞬間に好きかどうかが分かるの。」
「その仮説でいくと、一目惚れは存在しないって事にならないか。」
「ううん。一目惚れは存在するよ。その“相手を知る”という過程の前に、直感的にこの人だ！って悟ることを『一目惚れ』と呼ぶんだと思う。」
「…。理屈は分かるけれど、よく分からないな。」
「そう？まぁ実際は、恋に恋していたり、自分の理想を押し付けていたり、色々な要因が重なって好きだと勘違いすることもあると思うけど、根本的にはそんなに難しいものじゃ無いと思う。」
「そうなのか…。」
「つまりね！好きって複雑そうに見えて、意外と単純なものだってことが言いたかったの。」
「ああ、なるほど。だから多くの女性と関わらせて、俺にその“情報収集”をさせたいのか。」
「そういうこと。赤司くんはあまり一目ぼれしそうなタイプじゃないしね。」
「一目ぼれか。出来たらこんな所にはいないだろうね。」
「ふふ、確かにそうだ。」
「名前は一目ぼれをした事は？」
「ないよ。私の恋は中学時代で止まっているのだよ。」
「ふ、その口調、緑間みたいだ。」
「え、緑間？誰？」
「前話した将棋の友人だよ。」
「ああ、あの！」
「まぁそれはいい。とにもかくにも、早く相手を見付ける為にはもっと情報収集をする必要があるって事だね。」
「そうだね。私も色々セッティング頑張るよ！赤司くんもだけど、私にもいつか良い相手が見つかるといいなぁ。」
「…ああ。そうだね。」
「…。」
「…。」
「（あれ、なんだろうこの間…。）」

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