薔薇の花園に君を連れていく | ナノ


▼ 一つだけ願いが叶うなら

「赤司くんは、一つだけ願いが叶うなら何を願う?」
「それは…。なんだろうね。」
「?もしかして言いたくない事?なら2つ3つ願い叶えとく?」
「ふふ、増えていいのか。まあ、それだけ願いが叶うなら、また友人達とバスケがしたいな。それから前言っていた友人と将棋もしたい。マジバに行って、すき松屋に牛丼も食べに行きたいな。」
「おお、貪欲だね。いいね。」
「本来俺は貪欲な人間だよ。勝利は絶対だし、欲しいものは手に入れる主義なんだ。」
「すごい頼もしいね。」
「最近は張り合いのある相手がいなくて忘れていた。勝利も、欲しいものも、簡単すぎて。でもこの世界は自分の力じゃどうにもならないから、すべてを失くした気になっていた。俺は馬鹿だな。」
「そうだね。赤司くんは馬鹿だよ。」
「正直者は嫌いじゃないよ。」
「いててて!言ってることとやってることが違う!」
「最近は、なんで俺はここから出られないなんて弱気な事を考えていたんだろうって思うよ。例え恋愛なんか出来なくても、昔の俺なら力尽くで何とかしようとした気がするし。」
「赤司くんなら有言実行しそうで怖い。」
「俺に出来ない事は無いと思っていた。それが、最近は友人と疎遠になって弱気になっていたのかな。」
「それって丸くなったって事じゃない?よく知らないけれど。」
「丸くなった、か。そうなのかな。」
「分からないけどね。でも今の赤司くんも素敵だと思うよ。」
「そうか、ありがとう。」
「帰ったら忙しくなりそうだね。まず昔の友達に連絡とって、いっぱい遊んで、遊園地にも誘いなよ。それから、スイーツバイキングにも。絶対楽しいよ。」
「それは、名前と一緒に行く約束だろう。」
「うん、でも、私は…。ううん、なんでもない。」
「…名前は優しいね。俺を殺す事に、罪悪感を抱いてくれているんだろう?」
「そんなこと…。…二週間って、短いね。」
「…そうだね。」
「(タイムリミットが来る前に、赤司くんに恋をさせなければ、私は…。)」

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