薔薇の花園に君を連れていく | ナノ


▼ 現状について

「赤司くんは、前にここが自分の歪みが生み出したって言ってたよね。」
「ああ、生み出したというか、俺に恋愛をさせる為の世界だという事は分かっていたから、そのせいで出来たのだと漠然と思っただけだよ。」
「でもさ。どうして恋愛に殺すとか殺さないとか、そんな話が出てくるのかな。」
「?恋愛は生きるか死ぬかだろう。」
「えっ?っちょ、待って。どういうこと?」
「どう、といわれても。愛した人間は、その人物に命を捧げるというじゃないか。」
「それって、例えば浮気した女性が『貴方を殺して私も死ぬわ!』ってやつ?」
「ああ、まぁ、そんな感じかな。」
「赤司くん…愛が、重い…。」
「それが普通だと思っていたけれど。名前はそうは思わないようだね。」
「思わないよ。私は一度付き合ってもやっぱり合わなかったって思う事もあると思うし。」
「そうか。」
「あ、でもそうならない為に、ゆっくりじっくりお互いを知る必要があるんだよね。お互いを知れば、この人が運命の人だって分かるもんね。」
「運命の人、か。そんな人は本当にいるのかな。」
「いるよ。私はいると思う。」
「名前も意外とロマンチストだね。」
「うん。私純情な少女漫画とかゲームとか大好きだからね。」
「お互いを知る、か。確かに、名前の言う事が正しいのかもしれない。もっと早く名前と出会って、もっと早くにこの話を聞いていたら、俺も殺される世界は作らなかったかな。」
「ふふ、ロマンチックな話に心を動かされた?」
「そういう考えもあるな、という気になっただけだよ。」
「ちぇ。でも、赤司くんにもきっと現れるよ。お互いを分かり合える、いいパートナーみたいな女性がさ。一緒に探そうよ。」
「ああ。…それより、もっと色々名前の話を聞かせてくれ。」
「うん、いいよ!なんの話をしようか。」
「じゃあ過去に付き合った男性の話が聞きたい。」
「…。」
「無いんだね。」
「分かってるなら聞かないでよ!」

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