薔薇の花園に君を連れていく | ナノ


▼ 好きな季節

「赤司くんは好きな季節とかある?」
「俺は冬が好きだな。」
「ふむふむ。確かに夏って感じはしないけど、なんで冬が好きなの?」
「雪が好きなんだ。白くて無垢なところが見ていて癒される。」
「へぇ。確かに、雪月花とか言うよね。」
「蛍雪の功とか、雪は豊年の瑞(しるし)とかもね。」
「蛍雪の功は、確か貧しかった人が、夜に蛍の光や雪で反射する光を使って勉強して成功するって話だったよね。もう一つの方は?」
「雪は豊年の瑞。『雪がたくさん降るのは豊作の前兆だ』という意味だ。稲作には沢山の水が必要だから、雪が積もればその水で干ばつの心配がなくなるから。」
「へぇ、物知りだね赤司くん。そう思うと雪って良い意味で使われることが多いんだね。」
「そうだね。雪は綺麗で純粋なイメージが強いから。」
「ふふ、赤司くんてばロマンチスト。」
「そういう名前の好きな季節は?」
「私?私はねー、冬は好きだよ。雪合戦楽しいし、コタツに蜜柑は至福のひと時だし、鍋パーティーとかクリスマスとかお正月とか楽しいよね。あ、でも春も好き。桜は綺麗だし、お花見で食べるお団子美味しいし。でも夏は夏で皆でプール行ったり海に行ったりするの好きだし、スイカ割りとかもしたいよね。秋も紅葉が綺麗だし食べ物も美味しいし、過ごしやすい天気だし。あ、赤司くんと紅葉って凄く似合いそう。」
「で、結果全部か。贅沢者だな。」
「えへへ。私と一緒に入ればもれなく四季丸ごと楽しめるよ。お家にお一ついかが?」
「なんだそれは。じゃあ検討してみるか。」
「ほんと!?」
「あ、でもお高いんでしょう?」
「お、それがなんと!今なら税込1赤司くん円!」
「ん、なんだその単位は。」
「赤司くん一人で名前一人が買えるって事だよ。お買い得でしょ?」
「少し高過ぎるな。」
「うわっひどい!でもその通りだよ、やっぱり半赤司くん円にまけるよ。」
「うそ、冗談だよ。一つ頂こうか。」
「やった!毎度あり!」
「ふふ、名前の周りの人間は退屈しなさそうだね。」
「うん、退屈なんてさせないよ。赤司くんもね。」
「…、そうか。それは楽しみだ。」
「うん!」

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