冬休み


 



冬が本番になり雪も本格的に降り始め白恋中も北国特有の長い冬休み期間に入った。


『はぁ…冬休みなんか無くなればいいのに…。』


今年最後の部活動…

皆で部室の大掃除をしている中、俺はストーブの前でブツブツと冬休みに文句を言いながら部員達の姿を眺めていた。


『おい、雪村お前も少しは手伝えよ』

『俺は自分の分担された仕事を済ませてここにいるんだ。後回しにしてるお前らが悪いんだろ。』

『後回しって…ただお前は部活以外の時間使って済ませただけだろ!』

『それの何が悪いんだ!』


木瀧に文句を言われついカッとなりながら荒く言葉を返す。


俺はただ、先輩と一緒にサッカーがしたかっただけだ。


『まぁまぁ二人とも。ケンカはダメだよ?木瀧の言う言い分も分かるし、こーゆう雑務は今度から部活の時間にやろうね雪村』

言い争ってる俺達の間に吹雪先輩が入ってきた。

『はい…』
『すみませんコーチ…』

『分かってくれたなら良いんだよ、僕も雪村が部活外の時間に掃除済ませてるなんて知らなかったしね。』

『こいつ吹雪コーチとの練習時間を長くしたいからって部活が終わった時の片付けに相当時間かけてたんですよ。』

『別にいいだろ。お前らには関係ないんだし』

『関係なくないだろ、いきなりグラウンドからも部室からもいなくなるんだから』

『あぁ…だからジャージがあんなに黒くなる訳だ。でも雪村、それならちゃんと誰かに伝えておかないと皆が雪村の事心配しちゃうんだよ?』

『……気をつけます。』


木瀧の奴、先輩の前で恥かかせやがって…



『じゃあコーチ、部室の掃除も終わったんで今日はこれで失礼します。』

『うん、お疲れ様。気をつけて帰ってね』



今日の部活は部室の大掃除。
掃除が終わったら部員はほとんど帰って部室には俺と先輩だけになった。


『雪村は帰らないのかな?』

『帰るもなにも俺は最初から先輩を待ってるだけです。』

『……もしかして練習で?』

『はい。』


やっと吹雪先輩と二人きりになれたんだ。
今日はまだ時間も早い。
先輩に沢山指導してもらうんだ。

『ご、ごめんね雪村…今日は学校側から部活をしないでほしいって言われてるんだ。』

『え』

じゃあ何の為に俺は先輩の前で恥をかいたんだ!

『そ、そんな、ちょっとくらい大丈夫ですよ!』

『でも…またコーチ解任とかされたくないしなぁ』

『………。』

どうしよう、ずっとこの日を楽しみにしていたのに大好きなサッカーが出来ないなんて拗ねそうだ。
先輩に子供扱いはされたくないけど、駄々をこねて練習が出来るなら思いっ切り騒ぎたい。
けど、先輩を困らせるのも嫌だし、また先輩とサッカーが出来なくなってしまうのはもっと嫌だ。




『わかりました…。』

『せっかく待っててもらったのに、ごめんね』

『いや、それは良いんですけど…先輩ひとつ聞いても良いですか?』

『なんだい?』



『サッカー以外の事も、教えて貰えたりしませんか。』