※以下、優木元様から頂きました相互品になります。
無駄掲載等はお止め下さい。
本家様>>大麦若林





その手で温めて



※南アツ高校幼馴染み














いつからだろう。
こんなに胸が締め付けられるようになったのは。


「帰るか。」


そう言ったお前の横顔は月夜に照らされてとても綺麗だった。隣で揺れるお前の右手と俺の左手が当たる。こつんと当たっては離れていく。またくっ付いては、慌てて手を引っ込める。
こんなにも近くにいるのに。微妙な俺達の距離が、こんなにも切ない。


「…わりぃ。」


そう一言謝ったお前は俺と目を合わせることもなく、その手をズボンのポケットに突っ込んだ。ぽっかりとあいた俺の隣。それが俺達の距離を表しているみたいで、なんだか悲しかった。
しばらく沈黙が続く。ひゅうっと緩やかな風が、互いの髪を揺らした。綺麗に整われたお前の赤髪は、崩れることもなく。


「冷えてきたな。」


俺はこくりと頷いて、左手を右手で擦るようにして覆った。冷え性な俺の指先は、氷のように冷たい。その冷たさは、俺の心も凍らせるようだった。
しばらく自分の息をかけたりして、体温を上げようとするが、時折吹く強い風に当たれば直ぐに冷めてしまう。


「…手、出せよ。」
「?」
※南アツ高校幼馴染み



いつからだろう。
こんなに胸が締め付けられるようになったのは。


「帰るか。」


そう言ったお前の横顔は月夜に照らされてとても綺麗だった。隣で揺れるお前の右手と俺の左手が当たる。こつんと当たっては離れていく。またくっ付いては、慌てて手を引っ込める。
こんなにも近くにいるのに。微妙な俺達の距離が、こんなにも切ない。


「…わりぃ。」


そう一言謝ったお前は俺と目を合わせることもなく、その手をズボンのポケットに突っ込んだ。ぽっかりとあいた俺の隣。それが俺達の距離を表しているみたいで、なんだか悲しかった。
しばらく沈黙が続く。ひゅうっと緩やかな風が、互いの髪を揺らした。綺麗に整われたお前の赤髪は、崩れることもなく。


「冷えてきたな。」


俺はこくりと頷いて、左手を右手で擦るようにして覆った。冷え性な俺の指先は、氷のように冷たい。その冷たさは、俺の心も凍らせるようだった。
しばらく自分の息をかけたりして、体温を上げようとするが、時折吹く強い風に当たれば直ぐに冷めてしまう。


「…手、出せよ。」
「?」
「いいから出せって。」


そういった南雲は今までポケットに収まっていた手で俺の手を握り締め、そのままポケットに再度突っ込んだ。
手のひらから伝わる南雲の高い体温が、俺の全てを溶かしていくようで。
握り締めれば、握り返してくれる。


「あったかい。」
「そうか。」
「ありがとう。」


そう言うと、南雲はそっぽを向いた。その耳は髪に負けないくらい赤い。寒さのせいなのか、それとも。
そんな南雲の反応に、ほっこりとして自然と笑みが零れた。


「南雲は熱いな。」
「お前は冷たすぎ。」
「火傷しそうだな。」
「火傷したらお前が冷やしてくれるんだろう?」
「うん。俺が握って、冷やしてやるよ。」


そう言って、ぎゅっと南雲の手を握った。とくんとくん、と南雲の熱が伝わる。それはものすごい熱くて、切なくて。この気持ちを素直に吐き出せたら、どんなに楽なんだろう。
俺は一歩先を歩く南雲に気付かれぬよう、マフラーに顔を埋めて一人静かに泣いた。俺の左手には今も絶えず、南雲の熱が伝わっている。