すっかり秋だ
騒がしかった夏もあっというまに終わって
朝はもう肌寒い、ちょうどいい季節

「日本の夏はどうだった?」

「じめじめ暑くて嫌だ」

「まぁそうだけどさ、あたしが聴いてるのは行事のことだよ」

「あぁ、楽しかったよ」

にこりと綺麗に微笑んで指を折りながらふりかえっている
海に行った、夏祭りも花火大会も肝試しもすいか割りも流し素麺も、

「1番気に入ったのは七夕かな」

ロマンチックでいいよねえ、
マリクは七夕を最初知らなくて、1から教えてあげて
わざわざ笹買って短冊つけて星に願いをかけた
どうでもいいような願いばっかりで、


「楽しかったねぇ」

「マリクすっかり日本文化好きだね」

「うん、好き」



あ、ベランダに洗濯物干しっぱなしだ
急いで取り込みに行って、手際よくタオルを中に放り込んでいると
星の絵が書いてある見覚えのある紙

短冊、ひとつ残ってたんだ

拾い上げると、そこには読めない象形文字が書いてあった
…マリク?いやマリクはこんなに字は下手じゃない
だとしたら闇のほうのマリクか


「マリク、これ落ちてたよ」

「?…あぁ、」

マリクはくすりと笑って
これは僕の闇が書いた願い事だよと教えてくれた

「あいつ、これで初めて字書いたんだ」

「どおりで…何て書いてあるの?」


それは教えてくれなかった
ただ微笑むだけで、秘密、とか本人に聴きなよ、とか


「まぁ…あいつらしくない事だよ」



      誰かが祈った恋の唄

#INCLUDE様


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -