愛と思惑の業
【理事長の邸宅】
 学院の敷地内にあるため、探せば見つかる。塀に囲まれており、門には警備員が配置されている。奥には理事長の自宅である邸宅が見える。

▼アポなし突撃
 クライマックスパート前に理事長の邸宅に行くことはできない。
 門にいる警備員に止められる。ここで諦めた場合、軽い口頭注意を受ける。
 振り切って侵入した場合、玄関前で捕まる。寮での1日の謹慎処分となる。(寮内での行動は可能だが、アスカに注意)
 暴力を用いた場合は警察に捕まる。翌日の昼まで学外に拘束される。(実質の一回休み状態。何もできない)よって木曜日に警察に捕まった場合は、シナリオからドロップアウトする。KPは該当の探索者はこのままシナリオ終了まで戻らないことを宣言し、クライマックスパート終了後にエンディング▼ドロップアウトを行う。

▼夜半を追って
 誉を追いかけて理事長の邸宅に辿り着く。誉と一緒にいるため警備員にとめられることはない。
 玄関から入ると真っ直ぐ廊下が続いており右側に部屋が、左側に階段や物置、洗面所などがある。しかし何よりも先に探索者たちの目に飛び込んできたのは、血を流しうつ伏せになって倒れている栄華の姿だった。SANC 1/1D3
 体を起こしてみると肩のあたりの肉が抉られていて、大量の血が流れ出ている。

傷について〈医学〉に成功
 →なにか太く長いもので抉られたようだとわかる。

 奇跡的に栄華はまだ意識を保っていた。
「たす、けてくれ。誇享がおかしいんだ…。薬、くすりを…くすりが…」
 それだけ言うと意識を手放す。

 廊下に栄華から血の跡が続いている。それはとある部屋へと続いており、扉には平仮名で「こみちのへや」と書かれたプレートがかかっている。

 先へ進む場合は【栄華の部屋】へ。
 中に入る場合は【誇享の部屋】へ。ただし、探索者たちが部屋に入らなくても、澪は入っていく。


【誇享の部屋】
 女の子らしいと誰もが思うような可愛らしい部屋。
 天蓋付きのベッドの上に彼女はいた。(澪の写真を見ていれば、澪と一緒に写っていた少女とわかる)
 寝巻きに身を包んだ小柄な体。肌はほとんど日に当たっていないためか青白い。柔らかな黒髪やつぶらな瞳がなぜだか一部が変色してしまっている。そしてなにより異様なのは、彼女の背から伸びて蠢いている、太く長い肉の塊があることだった。(貴秋誇享の立ち絵を開示する) SANC 1/1D6

「誇享ちゃんっ!」
 そう叫んで澪が誇享に駆け寄ろうとする。

 誇享に近づこうとすると触手による攻撃が飛んでくる。回避に成功しない限り近づけないが、近づけば戦闘となる。

「こないでください」
「わたし、いま、おかしいんです。これいじょうはもたないんです」
「えいがにいさんに、ひどいことしてしまいました」
「にげて、にげてください」
「おねがいだよ、みおちゃん」

 近づく場合は戦闘開始。しかし澪も敵となる。
 澪を倒し、誇享を倒すと戦闘終了。
 途中で逃亡も可能だが、その場合澪はついて来ない。誇享を倒すと、一度触手がぐん、と一回り太くなり、誇享の体が萎れてしまう。直後触手はでろりと溶けるように崩れる。 SANC 1D3/1D6

 逃げる場合は▼澪を残すか?へ。

▼澪を残すか?
 逃げようとすると、澪がなぜかついて来ない。

「わたし、残ります。ずっとずっと会いたかったんです。誇享ちゃんに会いたかった。やっと会えたんだもん。だから、残ります」

○置いていく→【栄華の部屋】へ

○置いていかない
・澪の好感度がある場合
 →〈説得〉などのロールは別段必要ないが、澪を納得させるような言葉をかけられたなら澪は渋々ついてくる。【栄華の部屋】へ。
「なるだけ指示に従うのが協力、ですから」

・澪の好感度がない場合
 →「嫌です。わたしは残ります」と拒否される。
 〈説得〉や〈言いくるめ〉−20%に成功、または〈信用〉−50%に成功で渋々ついてくる。【栄華の部屋】へ。
「絶対またくるからね、まっててね、誇享ちゃん」

 ロールに失敗した場合は、澪はついてこない。
「勝手に部屋に入って、写真見たじゃないですか。ひどいですよ。見せたくないって言ったのに。わたし、もう、みなさんのこと信用できないです」
 澪を残して部屋を出る。【栄華の部屋】へ。


【栄華の部屋】
 誇享の部屋を出て廊下を進む。誇享の隣部屋がある。誉曰く栄華の部屋らしい。
 中は書斎のようになっていて、部屋の隅にベッドがある。書斎側には高級そうな敷物が敷かれていて、重厚な造りの机と、本棚がある。

机について〈目星〉に成功
 →「薬」とラベルの貼られた小瓶を見つける。ほのかに緑がかった透明のものが入っている。それはどろりとしていて、液体と固体の中間のように感じる。においやあじは特にしない。探索者が回収しない場合、海紺貴がこっそり回収する。

敷物または部屋について〈目星〉に成功
 →敷物の違和感に気づく。机や本棚といった調度品が敷物の上に一切のっていない。また中央に違和感がある。めくってみると床に扉がある。
 床の扉を開けると、地下へと続く階段がある。誉も存在を知らなかったようで唖然としている。
 地下へ降りる場合は【地下食料庫】へ。


【地下食料庫】
 階段を下りた先は広い空間になっていた。コンクリートの床を辿ると奥に扉が見える。そして、扉までの道の両脇には鉄の檻があった。
 右側の檻は空で、左側の檻には数人の人が入れられている。

○右側の檻
〈目星〉に成功
 →檻の出入り口の鍵が壊れている。また檻の奥になにか光るものが落ちている。夜半が制服につけていた銀色の飾緒(しょくしょ)だ。

○左側の檻
 中には5人の女性が入れられている。やせ細り、ほとんど骨と皮同然の状態だ。全員が衰弱しており、意思の疎通は取れそうにない。また、床のいたるところが残飯や吐瀉物、排泄物にまみれており、すえた臭いがしている。 SANC 1/1D3

 両方の檻を調べ終えると同時に、奥の扉の向こうから、悲鳴が聞こえる。夜半の声だ。扉の先へ進む場合は【地下の隠れ家】へ。


【地下の隠れ家】
 中に入るとぬちゃ、と足元から濡れた感覚がする。見ると血だまりに足を踏み入れている。そして血だまりを生み出すもとを探せば、奥で夜半が倒れているのが目に入った。下腹部に人の腕より太い穴がぽっかり空いている。本人に既に意識はなく、かすかに上下する胸から、かろうじて生きていることが伺えた。
 反射的に夜半に駆け寄ろうとした探索者たちは気づくだろう。夜半の隣に立つ存在に。それは女性の顔をしていた。夜半によく似た顔立ちの美しい女で、口元から血を滴らせている。上半身も女のそれであった。しかし、背からは太く長い肉の塊…触手が2本生えている。なぜだか片方の触手は半ばからちぎれている。下半身はもはや人のそれでなく、醜悪な肉塊であった。肉塊は時折脈打つように蠢き、ぬらぬらと光っている。

「よわちゃん…どうしてなの。どうして約束を破ったの。お姉ちゃん、よわちゃんだけは、食べたくなかったのに!」

 そう言って彼女、寶勝院真昼は触手を振りかぶった。 SANC 1D4+1/1D10

 夜半を助けるためには真昼を倒さなくてはならない。戦闘開始である。耐久力が一桁に突入したとき、真昼は真の姿に変身する。
 真昼の上半身が、顔が、唯一人型を保っていたそれらが泡立って崩れていった。徐々に姿は不定形になっていき、下半身だった肉塊と区別もつかない巨大な肉の塊となった。 SANC 1/1D6

 真昼を倒すと肉塊は停止し動かなくなる。
▼夜半への処置
 やっとのことで夜半のもとへ駆けつけると、生きているのが奇跡的であるくらいひどい状態だった。誉が救急車を呼んだが、このままではその前に死んでしまうかもしれない。絶望が支配する中、海紺貴が声を上げた。

「薬! あの薬を使おうよ! すごい薬なんでしょう!?」

 そう言って薬を所持している探索者を見る。(海紺貴が持っていた場合は、取り出したみんなに見せるようにして持ち、訴える)

「このままじゃ夜半ちゃんが死んじゃうよお…っ!」

○薬を飲ませる
 夜半に薬を飲ませると、あれだけひどかった傷口がある程度まで塞がり、出血がとまる。異様な回復の仕方であるが、夜半は一命を取り留める。後からやってきた救急車で病院へと運ばれていった。

○薬を飲ませない
 薬を飲ませない場合、〈応急手当〉または〈医学〉を行う。成否に問わず、夜半は死なないうちに病院へと運ばれる。

 澪を置いてきていた場合、帰りに迎えに行くことになる。【誇享と澪】へ。
 そうでない場合、潜入調査は終了となり、エンディングとなる。【エンディングまたはエピローグ】へ。


【誇享と澪】
 誇享の部屋に澪を連れ戻しに行くと、部屋はもぬけの殻だった。
 天蓋付きのベッドと中心に夥しい量の血液が、部屋全体に飛び散り広がっている。ベッドのすぐ脇には、紫色のカチューシャと血に染まったクマのストラップが落ちていた。 SANC 1D3/1D4+1

 これにて潜入調査は終了となり、エンディングとなる。【エンディングまたはエピローグ】へ。


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