毎日友達と馬鹿なことして部活してそこそこ勉強して、それなりに充実した高校生活。
まぁ、唯一充実していないといえば彼氏がいないくらい。
一年前に別れてから彼氏は出来てないし、かと言って未練があるから彼氏が作れないというわけでもない。
大学で出来たらいいなーと思ってるくらいで、残りの高校生活は友達と楽しく過ごすのも悪くないと思っている。


「明はさぁ、土方くんのことどう思う?マジ格好良くね?」


同じクラスのクールな土方くんを見ながら右隣に立っているハム子が言う。


『あー。確かに格好良いねー』
「棒読みじゃねーか!!」
『うっせーよハム子。ミンチにしてハンバーグにすんぞ』
「ハム子じゃなくて公子だし!!」
「私は格好良いと思いまする!!」


左隣にいる栗子ちゃんが頬を染めて言う。
不良に絡まれてるところをヒーローの如く土方くんが助けてくれてから土方くんにゾッコンになったらしい。
元々土方くんはクールでイケメンで声も良く背も高いし、頭脳明晰運動神経抜群という完璧な男の子でファンクラブもあるくらいモテている。
よく告白されてるところも見るしね。


『栗子ちゃんなら告白したらいけるんじゃない?可愛いし』
「そ、そんなことありません!私には無理にござりまする!!」
「何で栗子には優しいんだよテメー」
『可愛いからに決まってんだろうが。てか、ハム子さブッさいくな彼氏いるじゃん』
「おい、ブッさいくってどーゆーことだよ!」


私の胸ぐらを掴んで抗議してくるハム子。
ブッさいくな彼氏じゃねーか。
鼻ピアスじゃなくて鼻に輪っかつけてる牛まがいなデブの男見たの初めてだったよ。


『そのままだよそのまま。鼻ピアスとか牧場でしか流行りません』
「牛じゃねーよ!!ファッションだゴルァ!!」
『ちょっ、唾飛んでくんだげと!阿音!!ハム子を何とかしてよ!!』


前の机でファッション雑誌を読んでいる阿音に助けを求める。
阿音はため息を1つつき、雑誌を閉じる。


「ハム子やめなさいよ」
「ハム子じゃねーっつってんだろ!!」
「分かった分かった。取り敢えずアンタの彼氏はブッさいくなんだから認めなさいよ。でもアンタとお似合いよ」
「おい、それ遠回しにアタシに不細工っつってんの!?」


ハム子と阿音が言い合いしているうちに栗子に断りを入れて教室を出た。
昼休みは一時間近くあるから自販機のジュースで買いに行こうっと。



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