『あのさ、イチゴ牛乳嫌いだったら無理しなくていいからね?』
「え…?」
『いや、男子って甘いの嫌いな奴多いからさ…嫌いなんじゃないのかなって…』
「俺…イチゴ牛乳大好きなんです…」
また顔を赤らめて言う坂田くんに思わず笑ってしまった。
いきなり笑った私に吃驚して坂田くんはどうして笑うんですかとあたふたしている。
『いや、何かイチゴ牛乳好きとか可愛いなーって思っちゃってさ』
「か、可愛っ!?」
『あははは!!また赤くなった!坂田くん顔に出やすいね』
「え!?そ、そうでしょうか…」
少し眉を下げて落ち込む坂田くんを見てちょっとイジメすぎたかなと思い、確かブレザーのポケットに飴が入っていたはず…とポケットの中を探る。
ゴソゴソとポケットの中を探ると底の方に飴らしき感触を見つけポケットから出し、坂田くんの手のひらに飴を乗せる。
『ゴメンゴメン。これで許してよ』
「…イチゴミルク?」
『あー。私イチゴ好きなんだよね…』
私のキャラ的にイチゴ好きっていうのが似合わなくて思わず照れる。
ハム子にテメェは肉好きだろうが!!って言われたけどイチゴが好きなんだよコノヤロー。
いや、肉もスッゴい好きだけども!!
「…意外ですね」
『うっさい。自分でも自覚してるわ』
さっさと食べなさいと言うと、はっはいと言ってすぐさま食べる坂田くん。
おどおどしてるからパシられるんだろうな…。
ぽかぽかした太陽の光を浴びてうとうととしていると5時間目終了のチャイムが鳴った。
『5時間目終わったかー。さてと、私は戻りますかな。坂田くんは?』
「いや…俺はちょっとここにいます…」
『りょーかい。じゃあまたね』
そう言って屋上から出た。
そして教室に戻るとハム子と阿音から授業に出なかった理由を聞かれた。
『あー。何か坂田くんを助けたら授業始まっちゃってたんだよ』
「坂田?坂田ってもしかして3組の根暗じゃね?」
『え?3組なの?つーか、根暗?』
「銀髪で天然パーマの根暗よ。よくあんな根暗と一緒にいれたわね」
「アタシあんな根暗マジ無理なんだけど〜。顔も対してカッコ良くないし〜」
『ハム子の彼氏もブッさいくだから言えたもんじゃないし〜』
「真似すんじゃねーよ!!」
坂田くんって有名なのか。
てか、根暗だったのか。
いやまぁ根暗っぽいけども。
そんな銀髪で天然パーマで根暗な坂田くんの存在を初めて知った三年の5月。
*前 次#