屋上につき手を離す。
『屋上とか久々かも』
「あ、あの…」
あ、存在忘れてたや。
後ろを向くとたどたどしている男子。
銀髪の天然パーマに眼鏡。
誰だっけコイツ。
この学校は服装や頭髪に校則がなく色々な髪の毛をしている人が多いから分からない。
つーか、銀髪のくせに何でパシられてんの?
銀髪はヤンキーしかしないでしょ。
「助けてくれて有り難う御座います…!」
勢い良く頭を下げる銀髪。
『いやいや、別に対したことしてないからそんなに感謝しなくていいよ。それより君さ、毎日あんなことさせられてるの?』
「あ…はい…」
『マジか…。上級生にもなるってのにあんなことするなんて本当に有り得ないね。先輩だからって遠慮することないからねあんな奴ら。もしまたあんなことされたらガツンとやり返しな』
「えっ…あの、俺…三年なんですけど…」
マジでかァァァ!?
おいおい、完全に後輩だと思っちゃったよゴメンね。
そんでもって君の存在も知らないゴメンね。
聞いたらもしかして、あぁ!知ってる知ってる!!ってなるかもしんないし。
『ご、ゴメン。えっと…名前は?』
「あ、坂田銀時です」
全然知らねェェェ!!
これっぽっちも聞いたことねェェェ!!
『坂田くんね、宜しく。あ、私は今和泉明です』
「…し、知ってます」
『え!?私のこと知ってんの!?』
「あの、弓道部の副部長ですよね…?」
『うん。知ってたんだ…』
まぁ、あんな濃いメンツに囲まれてたら嫌でも有名になるか…。
剣道部副部長の九ちゃん、空手部部長の妙ちゃんに副部長の神楽…などなど有名人ばっかりだしね…。
そんなことを考えていると急にお腹がなったような音がした。
いやいや、私じゃないし。
つーか昼飯食ったしどんだけ腹減ってんだよ。
そうなるとさっきの音は坂田くんからということになり、坂田くんの方を見ると顔を少し赤らめて下を向いていた。
『さっきのもしかして…坂田くん?』
「あ、はい…すみません」
顔赤らめるとかお前は お と め か!!
よく考えるとパシられんだから昼飯食べる時間ないのか…。
『あ、イチゴ牛乳いる…?』
「え…。いや、悪いですよ!!」
『そんなにいらないしさ、坂田くん飲んでよ』
有り難う御座いますと小さな声で言いちゅーちゅーとイチゴ牛乳を飲む坂田くん。
てか、男子ってイチゴ牛乳とか甘いもの嫌いじゃないのかな?
もしかして無理して飲んでるとか…?
コイツならあり得そう…。
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