茜は葵と家でのんびり過ごす時間が好きだ。休みの日に葵とするショッピングはもちろん楽しいが、それと同じくらい家でのデートも楽しい。たわいもない話をずっとしていられるし、どれだけいちゃついてもいいからだ。茜はよく葵に、「茜さんて、外にいる時と私と二人でいる時と全然違いますよね」と言われる。茜自身はそんな自覚は全くないのだが、葵に言わせれば、茜は二人っきりになると驚くほどべたべたしてくるらしい。そう言われたとき茜は「ただ、葵ちゃんにくっついていたいだけだもん」と返す。そしたら葵は一気に頬を赤く染めて、嬉しそうに「…私もです」と言ってくれる。茜はそんな葵が愛おしくて微笑む。そのままキスをすると葵はまんざらでもなさそうな表情を浮かべる。つまり二人はお互いのことが大好きなのであった。 今日は雨が降っているので葵の家で過ごすことになった。お邪魔します、と茜は葵に続いて部屋に入る。同じ女の子の部屋でも茜の部屋とは少し違う。葵の部屋を見る度に、茜はそう感じる。葵の部屋はネックレスなどのアクセサリーがたくさん飾られていて、本棚にはファッション雑誌が何冊も並べられている。茜は写真ばかりの自分の部屋を思い出して、面白いなと思った。こんな風に違いがあるからこそ、自分は葵を好きになったのかもしれない−−そう考えて一人でニヤニヤしていたら、葵が不思議そうな顔をする。 「どうしたんですか?」 「ううん、ちょっとね…私の部屋とは全然違うな、って思って」 「茜さんの部屋は写真とか雑貨がいっぱいありますもんね」 「うん。だからなんだかおもしろくて」 くすっと茜は笑う。その笑顔に葵はどきりとした。いくら付き合っているとはいえ、不意打ちでこんな表情を見せられるとドキドキする。葵は慌てて「そういえば、水鳥さんが…」と話題を変える。すると茜は少し拗ねたように頬を膨らませて葵に言う。 「他の子の話はしないで」 「…ごめんなさい」 「もう。そんな可愛い顔しないでよ」 「えっ」 茜が気分を悪くしたかと思ってしょんぼり謝った葵。茜はそんな葵が可愛くて、思わず笑顔でそう言った。葵は驚いたように顔を上げ、言われた言葉を思い出して耳まで熱くなる。−−やっぱり、好きだ。茜はそう感じて、葵を抱きしめてキスをした。突然の茜の行動に葵は驚いたが、すぐに抱きしめ返した。いつもいきなり抱きしめられたりキスをされたりするため、慣れてしまっているのだ。葵はそんな自分がいることに気付いて笑った。自分はどれだけ茜さんのことが好きなのだろう、と。 茜は葵に抱きしめ返されて喜びを感じていた。腕の中の葵は華奢で、茜は優しく抱きしめている。そしてもう一度向き合って唇を重ねると、どちらからともなく舌を絡めた。二人とも目を閉じて、その甘い口づけを味わう。茜が薄目を開けたとき、同じように薄目を開けた葵と目があった。そのタイミングの良さに笑い合って、二人は唇を離した。そして茜は葵の首筋に舌を這わす。葵がそれをずっと待っていたかのように受け入れると、茜は葵を押し倒した。茜と葵は見つめ合うと、ゆっくりもう一度キスをする。くちゅ、という音が響いて葵は恥ずかしそうに視線をそらす。−−自分はそんな葵がとても好きで仕方ないのだ。そう思いながら茜は葵の首筋をちゅっと吸った。 すきなんだなあ title by るるる |