眼を開くといつもと違う天井と夏の白い陽射しが部屋いっぱいに光っていた
ああそうかと此処が何処だか理解して、この部屋の主をぼやけた視界で身体も起こさぬまま探す
「なかじ起きた?」
視界の反対側に居たタローが言葉を投げ掛けてきた
何故眼も合ってないのに起きたことがわかるのだろうか
「身体、いたくない?」
言われてみればいつもよりずっと身体が怠いことに気付いた
腰から下が特に最悪
思った通りに最悪、と言うとごめんね、と言葉と同時に背中からタローの体温が直に伝わる
「ごめんねえ、男とこういうのすんの初めてだったから、あんまわかんなかった」
はは、と乾いた笑いをもらすタローのまるで
女とは幾らでもしてきました、と言わんばかりの態度に苛立ちを覚える
所詮こいつにとってはおれもその中の1人、まぁ性別が同じでちょっと特殊、くらいかもしれない
「学校どうする?もう二時間目はじまるけど」
こんな状況で行ける訳がない、行かない と答えると だよね、返ってきた
「ナカジ、すきだよ、ナカジ」
話が途切れたかと思うと間を置いてタローがつぶやく
まるで戯言のように自分の身体を抱きながらつぶやくタローも嘘にしか見えない
腹が立つ、
タローを信じてやれない自分が何よりも腹が立つ。
信じ切った頃に裏切られるのが怖くて怖くてたまらなくて疑うことしかできない
またそうこうしてる間にタローがつぶやくから、おれは涙が溜まる前にきつく眼を閉じた
*20110818